天下祭

天下祭（てんかまつり）または御用祭（ごようまつり）は、江戸時代から続く江戸（現在の東京）を代表する祭礼です。主に、江戸の総鎮守と称された神田明神の神田祭と、徳川家の産土神とされた山王権現（現在の日枝神社）の大祭である山王祭を指します。

天下祭の概要

正徳4年（1714年）9月には、根津権現（現在の根津神社）の祭礼である根津祭が一時的に天下祭に加えられたことがありました。しかし、天下祭という名称は、長きにわたり神田祭と山王祭が独占することとなりました。

この背景には、両社が江戸城を守護する神社として、徳川将軍家から特別な崇敬を受けていたことが挙げられます。祭の際には、神田祭と山王祭の山車が江戸城に入り、将軍に拝謁することが許されていました。この特権が、両祭を特別な存在として際立たせていたと考えられます。

その他の江戸の祭礼

江戸には、天下祭の他にも名だたる大祭が存在しました。例えば、赤坂の氷川明神祭、牛込の赤城明神祭、小石川の白山明神祭、本郷の湯島天満宮祭、下谷の下谷稲荷祭、浅草の鳥越明神及び三社権現祭、向島の牛御前祭、深川の富岡八幡宮祭（深川祭）、亀戸の亀戸天満宮祭、王子の王子権現祭などです。これらの祭礼は、江戸の年中行事として人々に親しまれていましたが、中でも天下祭は、その規模と格式において際立っていました。

江戸三大祭

天下祭（神田祭・山王祭）と富岡八幡宮の深川祭は、特に盛大な祭礼として「江戸三大祭」と称されています。これらの祭は、江戸の文化を色濃く反映し、人々の生活に深く根ざしていました。

まとめ

天下祭は、江戸時代から続く伝統的な祭礼であり、神田祭と山王祭を中心に、江戸の文化と歴史を今に伝える貴重な存在です。将軍に拝謁を許された格式の高さや、江戸の人々の熱狂的な支持が、天下祭を特別なものとしています。

参考文献
* 「東京市史. 第四」（1936年）

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