天使のウィンク

天使のウィンクについて

「天使のウィンク」は、1985年1月30日に松田聖子がリリースした20枚目のシングルで、CBS・ソニーから販売されました。この楽曲は、制作に尾崎亜美が初めて関与したことでも特筆されており、尾崎の作詞・作曲能力が光る一曲となっています。また、1989年や2004年にはそれぞれ異なる仕様で再リリースされており、今でも多くのファンに愛されています。

制作の背景

1984年に発表されたアルバム「Tinker Bell」に楽曲を提供した尾崎亜美。この楽曲提供依頼を受けたのは、1984年の年末のことでした。尾崎は、松本隆が長年手掛けていた作詞部分を引き継ぐ依頼に驚きを隠せなかったと語っています。制作の際、ひらめきは家の掃除中に舞い込んできました。普段考えていた「天使」のアイデアが、窓の掃除をしているうちに頭に浮かんだようです。特に天使が舞い上がるイメージが影響を与え、直感的に曲が生まれました。

尾崎は松田聖子のイメージを「スウィート」と捉えており、それをあえて崩すためにバラードではなくリズミカルな曲調を選びました。この曲が大ヒットした際、彼女は自身の成長を実感したと述べています。

さらに、プロデューサーの若松宗雄からの「歌詞はあ段で始めてほしい」という特別なリクエストがあったことにも尾崎は驚きました。この条件が形になり、実際に「天使のウィンク」の歌詞にはあ段で始まる文が多く見られます。

歌詞の構成

本曲の歌詞は、恋に悩む女性と天使という二つの視点が目まぐるしく切り替わりながら展開されます。特に冒頭と終わりの部分では、一人称の「僕」がエンジェルの視点を示していることが特徴的です。この複雑な構成が、楽曲に深みを与えています。

パフォーマンスと影響

「天使のウィンク」は、サビにある「天使がウィンク」というフレーズが記憶に残ります。聖子は手を使って顔をウィンクさせる振り付けを取り入れ、この動作が定番となりました。また、当時の音楽番組においては生演奏が主流でしたが、この曲の披露はあまり生演奏では行われなかったことも印象的です。

楽曲の発売後、聖子は神田正輝との結婚を発表し、しばらくの間活動を休止。出演した『ザ・ベストテン』では涙ながらにこの曲を歌い上げ、その後『第36回NHK紅白歌合戦』でのパフォーマンスが最後の公演となりました。その後、アルバム『SUPREME』や娘の出産を経て、活動再開までに長い期間がありました。

収録曲とその後のカバー

シングルの収録曲は、表題曲「天使のウィンク」と、B面に「七色のパドル」が含まれています。特に「天使のウィンク」はダイハツ工業の「新シャレード」のイメージソングとしても知られています。この楽曲は他のアーティストによっても多くカバーされており、尾崎亜美自身によるセルフカバーをはじめ、さまざまなアレンジで歌い継がれています。

「天使のウィンク」は、単なるヒット曲というだけでなく、松田聖子と尾崎亜美にとって重要な位置づけとなった楽曲であり、音楽の歴史における名作として今も輝きを放っています。

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