失敗は成功のもと

トムとジェリー：失敗は成功のもと

1955年に制作された『トムとジェリー』の短編アニメーション『失敗は成功のもと』は、発明好きのトムと、いたずら好きなジェリーの知恵比べを描いた、人気エピソードです。

物語のあらすじ

トムは、最新式のネズミ捕りを設計し、その発明で億万長者になる夢を抱いていました。夜遅くまで設計図と格闘したトムは、疲れて眠りにつきます。

一方、設計図の中に描かれたネズミと猫が、まるで絵から飛び出したように動き出します。絵の中のジェリーは、本物のジェリーを起こし、トムの恐ろしい計画を知らせます。そこに、絵の中のトムも乱入し、2次元の世界と3次元の世界を行き来するドタバタ劇が展開されます。

本物のジェリーと絵の中のジェリーは協力し、絵の中のトムを退治。そして、トムの設計図を巧みに改竄し、逃亡します。

朝、目覚めたトムは、改竄されたことに気づかぬまま、設計図通りに巨大なネズミ捕りを完成させます。ジェリーを捕まえようと、チーズを仕掛けた罠を作動させますが、そこからは予測不能な連鎖反応が始まります。

ジェリーがチーズを引くと、目覚まし時計が鳴り、その振動で鋸が木を切断し、切り落とされた木がハサミに落ち、ハサミがハンマーを支えていた糸を切断。倒れたハンマーがバナナを跳ね上げ、フロントガラスを汚し、ワイパーが作動します。その連鎖は続き、セメントのバケツ、天秤、扇風機、ビリヤード台、洗濯機、ライフル銃、鳩時計と、次々と連動して動いていきます。最終的には、金庫が落下する仕掛けになっていました。

トムは、見事な作戦成功を確信しますが、金庫が落下するはずだったジェリーではなく、トム自身の上に落下。計画は見事に裏目に出ます。

金庫から四角く潰れた姿で現れたトムは、無言で（もしくは吹き替え版では「何でいつも俺ばっかりこうなるの！」と叫んで）視聴者に語りかけ、物語は幕を閉じます。

キャラクター

トム: 億万長者になる野望を抱き、夜遅くまでネズミ捕りの製作に没頭するも、ジェリーと絵の中のキャラクターたちの策略によって、自作の罠にかかってしまう猫。
ジェリー: トムの計画を事前に察知し、絵の中のジェリーと協力して設計図を改竄し、トムの罠を逆に利用してトムを窮地に陥れるネズミ。
* 絵の中のトムとジェリー: 設計図の中に描かれたキャラクターたち。本物のトムとジェリーと協力して、計画を成功させる。

作品の魅力

この作品の魅力は、緻密に計算されたピタゴラ装置のような連鎖反応と、トムの予想外の結末にあります。複雑な仕掛けと、トムの不運が織りなすドタバタ劇は、何度見ても飽きることがありません。また、絵の中のキャラクターたちが現実世界に干渉するユニークな演出も、この作品ならではの特徴です。

日本の放映

日本ではTBS系列などで1964年から1990年頃まで放送され、多くの視聴者に親しまれてきました。現在ではDVDなどで視聴可能です。

まとめ

『失敗は成功のもと』は、トムとジェリーの知恵比べ、そして予測不能な連鎖反応、そして皮肉な結末が楽しめる、傑作短編アニメーションです。巧妙な仕掛けとユーモラスな展開は、今もなお多くの人々を魅了し続けています。

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