奥田知志

奥田 知志: ホームレス支援に捧げた人生

奥田知志（おくだ ともし）は1963年に滋賀県大津市で生まれ、日本バプテスト連盟に所属する牧師として、特にホームレス支援に力を入れて活動しています。彼は関西学院大学で神学を学び、大学院を修了した後、1990年に東八幡キリスト教会の牧師に就任。その後も、ホームレス支援に関わる活動を続けていきました。

経歴とホームレス支援の始まり

彼の人生の転機は、大学1年生の時に、大阪の釜ケ崎で日雇い労働者の支援活動に参加したことです。この経験がきっかけとなり、彼は本格的にホームレス支援に従事するようになりました。1990年には「北九州越冬実行委員会」に参加し、事務局長として活動を行い、1995年からはその代表を務めています。

その後、2000年に設立されたNPO法人北九州ホームレス支援機構（現在の抱樸）の理事長として、ホームレスや生活困難者に対する多角的な支援を展開しました。彼は、スローガン「“あんたもわしもおんなじいのち”」を掲げ、老若男女を問わず様々な困難を抱える人々のために活動をしています。

抱樸の活動と成果

奥田氏の指導の下、抱樸は事業を拡大し、初期には食事配布に特化していたのが次第に、障害者支援や子供支援、そして刑務所出所者支援など、27の多様な支援事業を展開するまでになりました。彼らが手掛けた活動により、2022年3月時点で3750人以上のホームレスの自立を支援し、その後も2000人以上に対して継続的なサポートを提供しています。

活動の初期には、団体の解散を目指していましたが、多くの人々のニーズに応えるために、解散しないことを決めました。この選択は、抱樸が地域社会に深く根付くきっかけとなりました。

福岡県北九州市では、2004年には457人のホームレスが確認されていましたが、彼らの活動のおかげで、現在ではその数が58人にまで減少しています。これは、彼らの支援が実を結んでいることを示しています。

公共サービスと活動の多様性

奥田氏は、共生地域創造財団の代表理事や全国居住支援法人協議会の共同代表としても多くの役職を歴任しており、社会福祉の領域で広範囲にわたり活動しています。また、彼らの活動やメッセージは、メディアでも非常に注目されており、NHKのドキュメンタリー番組『プロフェッショナル 仕事の流儀』にも2度取り上げられました。

著作活動

奥田氏は著作にも多くの業績があり、著書には『恵みのいましめ』や『もう、ひとりにさせない』などがあり、ホームレス支援や人々との絆をテーマにしたメッセージを発信しています。また、共著作や記事も多数執筆しており、その内容は非常に多岐にわたります。

人生哲学

彼の座右の銘は「無理しない、楽しない」であり、尊敬する人物にはディートリヒ・ボンヘッファーを挙げています。奥田知志氏の活動は、強い信念のもと、社会的弱者の支援を通じて持続可能な社会の実現を目指しています。彼の行動と思いは、多くの人に勇気を与え、社会に大きな影響を与えているのです。

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