妖怪博士

『妖怪博士』

江戸川乱歩が手掛けた『妖怪博士』は、1938年に月刊娯楽雑誌「少年倶楽部」で連載された、少年向け推理小説シリーズの第3作目です。この作品は、前作「少年探偵団」での事件から続く復讐劇を描いています。シリーズの中で最も長い作品ですが、独立した3つのエピソードが巧妙に繋がっています。

あらすじ

物語の舞台は東京都。少年探偵団の一員である相川泰二は、怪しい老人が住む洋館に足を踏み入れます。泰二は、屋敷の中で捕えられた美少女を発見し、彼女を救おうとします。しかし、怪異に満ちた蛭田博士に見つかってしまいます。博士は一風変わった能力を持ち、周囲には不思議な仕掛けが広がります。この探偵団員の冒険は、緊張感に満ちた展開と不可思議な要素で構成されており、読者の興味を引きつけます。

登場人物

• - 相川泰二: 小学六年生で、少年探偵団の団員。勇敢で行動力のある性格。
• - 蛭田博士: 六本木に住む異色の医学者。彼の周囲には不可解な出来事が連発する。
• - 小林芳雄: 少年探偵団の団長で、明智小五郎の助手。知恵が働く性格。
• - 怪人二十面相: 神出鬼没の怪盗。変装の名手で、「二十面相」と自称する。
• - 明智小五郎: 名探偵であり、怪人二十面相の宿敵。

作品の魅力

『妖怪博士』は、江戸川乱歩特有の緊迫したストーリー展開が光ります。特に、細かな描写と緊張感ある場面設定が、読者の心をつかみます。少年探偵団のメンバーたちの絆や成長が描かれつつ、謎解きと冒険が展開されるため、男女問わず広く楽しめる内容となっています。

書誌情報

本作は様々な出版社から出版されています。1940年に大日本雄辯會講談社から初版が発行され、その後も講談社や光文社、ポプラ社などから再版が行われています。特に、1987年の江戸川乱歩推理文庫の第32巻として再登場した際には、多くのファンの注目を集めました。

映画化

1956年には、東映によって映画『少年探偵団 第一部 妖怪博士』が公開されました。この映画は原作に基づいており、実際のキャラクターがスクリーンでどう表現されたかも見どころの一つです。

結論

『妖怪博士』は、江戸川乱歩の作品の中でも特に象徴的なものです。探偵団という多彩なキャラクターたちが織り成す物語は、今読んでも新鮮であり、ミステリーが持つ魅力を堪能できる作品となっております。

もう一度検索