学校法人会計基準

学校法人会計基準について

学校法人会計基準（がっこうほうじんかいけいきじゅん）は、昭和46年4月1日に文部省令第18号として制定された、日本の私立学校法人向けに設けられた会計処理の基準です。この基準は、私立学校振興助成法のもとで、私学助成を受ける学校法人が適切な会計管理を行うための統一的なルールを提供することを目的としています。

概要

この基準が施行されてから、約40年の時を経て、2013年に大幅な改正が実施されました。この改正は、教育機関の会計処理の透明性や一貫性を高めるために必要不可欠なものとされ、特に平成27年度以降の会計年度から実施されています。知事が所轄する学校法人に関しては、平成28年度から適用されています。

構成

学校法人会計基準は以下の章で構成されています:

1. 第一章 総則（第1条 - 第5条）
基本的な概念と会計基準の目的について定めた部分。

2. 第二章 資金収支計算及び資金収支計算書（第6条 - 第14条の2）
資金の流れを整理し、収支計算書の作成基準を明示。

3. 第三章 事業活動収支計算及び事業活動収支計算書（第15条 - 第24条）
専門的な事業の収支に関するルール。

4. 第四章 貸借対照表
資産と負債の状況を表示するための基準。

5. 第五章 知事所轄学校法人に関する特例（第37条 - 第39条）
知事が管理する学校法人に特有の規定。

6. 第六章 幼保連携型認定こども園を設置する社会福祉法人に関する特例（第40条）
幼稚園と保育園の連携についての規定。

7. 附則
他の条文との関係に関わる規定。

特徴

この基準の一つの大きな特長は、学校法人が計画に基づいて資産を持続的に管理するため、事業収入の中から基本金制度を設けている点です。この制度により、安定した運営資金を確保する仕組みが構築されています。さらに、有価証券などの金融商品の評価は基本的に取得原価を基準とし、大きな評価損が生じた場合のみ時価に評価替えを行います。このような厳格なルールは、資産の価値を安定的に維持する目的があります。

また、固定資産の減損会計は採用されておらず、使用不可になった資産は物理的に除却します。興味深いことに、学校法人会計基準では資産除去債務が計上されることもありません。退職給付関連の会計も特異な状況で、数理計算に基づく引当金の計上は行わず、退職給付引当金は退職一時金の要支給額の100%のみを計上します。

さらに、賞与引当金も計上せず、連結財務諸表を導入していないため、学校法人は独立した財務状況を保持しています。外貨の換算基準や継続企業前提に関する開示基準も存在しないため、これらは法人の会計処理に影響を及ぼす要因となります。

学校法人会計基準は、まさに日本の教育機関の会計処理における重要な指針となっており、これに従うことで、透明性と信頼性の高い管理が実現されます。今後も改正や見直しが行われ、より良い会計基準が追求されていくことが期待されています。

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