私立学校振興助成法

私立学校振興助成法とは

「私立学校振興助成法」（昭和50年法律第61号）は、日本の私立学校教育の振興を目的として、国および地方公共団体がこれらの学校に対して財政的な援助を行うための根拠となる法律です。一般に「私学助成法」や「私学助成振興法」とも呼ばれ、1975年（昭和50年）7月11日に公布され、翌1976年（昭和51年）4月1日から施行されました。

法律が対象とする教育施設と設置者

この法律において助成の対象となる「学校」は、学校教育法第1条に定められている、いわゆる「一条校」全般に加え、就学前の子どもに関する教育、保育等の総合的な提供の推進に関する法律（認定こども園法）に基づき設置された幼保連携型認定こども園を含みます。

具体的に一条校とは、以下の9種類の学校を指します。

幼稚園
小学校
中学校
義務教育学校
高等学校
中等教育学校
特別支援学校
大学
高等専門学校

これらの「学校」を設置・運営する主体としては、主に私立学校法に基づいて設立された「学校法人」が助成の対象となります。国や地方公共団体は、政令で定められた基準に従って、学校法人に対して助成を行うことができます。また、経常的な補助だけでなく、国会の議決や地方議会の議決を経ることで、その他の必要な助成を行うことも可能です。

さらに、学校教育法に定める教育施設のうち、一条校以外の「専修学校」や「各種学校」についても助成の対象に含まれます。これらの学校を設置する「準学校法人」に対しても、学校法人と同様に、国会や地方議会の議決を経て財政援助が行われることがあります。

加えて、この法律の附則では、当分の間の措置として、学校法人格を持たない私立の幼稚園や幼保連携型認定こども園の設置者に対しても助成を行うことが定められています。

助成を受ける側の責務と監督

私立学校が国や地方公共団体からの助成を受けるにあたっては、いくつかの責務を負うことになります。最も重要なのは、助成を行う主体である国や地方公共団体が指定する「所轄庁」（多くの場合、文部科学大臣または都道府県知事）の監督に服することです。

具体的には、経営状況に関する報告書の提出や、学則で定められた収容定員を大幅に超過しないようにするなど、適正な学校運営が求められます。これらの条件を満たさない場合や、不正行為があった場合には、助成金の減額や停止といった措置が取られることがあります。

法律の構成

私立学校振興助成法は、以下の主要な条文から構成されています。

第1条：法律の目的を定めています。
第2条：この法律における「学校」や「学校法人」などの定義を明確にしています。
第3条：学校法人の責務について定めています。
第4条：私立大学や私立高等専門学校の経常的経費に対する補助金について定めています。
第5条〜第7条：補助金の増減額に関する規定です。
第8条：学校法人が行う学資の貸与事業への助成について定めています。
第9条：都道府県が行う学校法人への補助に対する国の補助について定めています。
第10条：上記の補助以外のその他の助成について定めています。
第11条：間接補助に関する規定です。
第12条以下：所轄庁の権限や監督、報告書の作成など、助成を受ける法人に対する監督に関する規定です。
第15条：税制上の優遇措置について触れています。
* 第16条：準学校法人への規定の準用について定めています。

この法律は、私立学校が公教育の一翼を担う存在として、その健全な発展を支援し、教育の機会均等に寄与するための重要な基盤となっています。助成を通じて、私立学校の教育条件の維持向上や、多様な教育の提供が図られています。

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