学生街の殺人

学生街の殺人

『学生街の殺人』は、1987年に東野圭吾によって書かれた本格推理小説です。この作品は、大学の近くにある学生街を舞台にした連続殺人事件を描いており、読者を最後まで飽きさせることのない緻密なプロットが特徴です。初版は講談社から発行され、その後1990年に文庫版が登場しました。文庫版の解説は新保博久が手がけています。

あらすじ

物語の舞台は、いくつかの大学が立ち並ぶ学生街です。この地区は新たにできた駅の影響で、徐々に人が離れていき、かつての活気を失いつつありました。この街にあるビリヤード場『青木』で働く津村光平は、ある日、親友の松木元晴から衝撃のニュースを聞かされます。松木は、自宅で何者かに命を奪われたのです。

彼が残したメッセージには「俺はこの町が嫌いなんだ」とあり、光平はその謎めいた言葉に悩まされます。しかし、彼は松木の死を無駄にするわけにはいきません。光平は、真相を明らかにするために行動を開始します。ところが、その直後に新たな殺人が発生し、密室での惨劇によって物語はさらに複雑な様相を呈します。次々と明らかになる真実と嘘、信じられない展開に、光平は果たしてどのように立ち向かうのか―。

登場人物

• - 津村光平: ビリヤード場『青木』のホールスタッフで23歳。松木の親友。
• - 有村広美: 光平の恋人であり、カフェ・バー「モルグ」の共同経営者。光平と共に事件の解明に挑む。
• - 松木元晴: 『青木』のフロア責任者であり本名は杉本潤也。事件の被害者。
• - 佐緒里: 『青木』の従業員で、光平の同僚。
• - マスター: ビリヤード場『青木』の経営者。
• - 日野純子: 「モルグ」の共同経営者で有村広美の親友。

キャッチコピー

「その町には学生がいて、時がくると彼らは去っていく。」

エピソード

本作の出版当初、著者の東野はその売上に期待を寄せていましたが、予想に反して売れ行きは芳しくなかったと語っています。それでも彼は落ち込むことなく、東京都内の書店を一つ一つ回り、数冊ずつ購入することで、若干でも販売状況を良く見せかけようとしたとのことです。このように、成功を夢見て努力を重ねた作家の奮闘は、後に名作を生む温床となったのです。

『学生街の殺人』は、ミステリーファンにとって必読の作品であり、東野圭吾の才能が光る一作です。その緊迫したストーリー展開と深みのあるキャラクターたちが織りなす人間ドラマは、今なお多くの読者に愛されています。

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