宇宙葬

宇宙葬とは

宇宙葬とは、故人の遺骨などを特製のカプセルに納めてロケットに乗せ、宇宙空間へと打ち上げる葬送のスタイルです。通常の散骨と異なり、高度な技術が必要となるこの方法は、最近特に注目を集めています。

打ち上げの方法

宇宙葬では、利用するロケットには容積や質量の制約があります。そのため、一度の打ち上げで数グラムの遺骨をシリンダーに詰め、複数人の遺骨を同時に宇宙へ送ることが一般的です。例えば、2004年に実施された場合では、150人分の遺骨が打ち上げられました。費用を抑えるために、商業用のロケットが再利用されることも多いです。

宇宙空間の制約

「宇宙葬」と名付けられていますが、実際にはロケットの性能の制約により、ほとんどの場合は遺骨が地球の重力圏周辺にとどまることになります。これによって、宇宙ゴミの増加を懸念する声も上がっています。日本国内では、2014年に『銀河ステージ』が宇宙葬に成功した以降、多くの宇宙葬実績を持つ企業が増えました。

代表的な企業とサービス

近年の宇宙葬の流れをリードしているのは、まず『銀河ステージ』です。同社は多くの打ち上げを成功させてきており、特に2018年には『エリジウムスペース』が流れ星を模した供養方法の宇宙葬に成功しました。また、株式会社みんれびが協力して展開しているサービス『Sorae（ソラエ）』も人気の選択肢となっています。各社のサービスによっては、遺骨が指定の日時に地球に燃え尽きる仕組みを取り入れるなど、環境への配慮もされています。

特殊なプラン

宇宙葬のプランは多岐にわたります。人工衛星に遺骨を搭載するものから、月面や外宇宙に向けた打ち上げまで、その内容は豊富です。例えば、著名な探査機に搭載された事例として、1997年に交通事故で亡くなったユージン・シューメーカーの遺骨が2005年に月に送られたことや、冥王星の発見者クライド・トンボーの遺骨が2006年に冥王星探査機に載せられたケースなどがあります。

一般人向けの宇宙葬

かつては著名人の遺骨を対象とした宇宙葬が主流でしたが、最近では一般の方でも参加できるプログラムが提供されています。例えば、女優の島田陽子さんが生前に宇宙葬を予約していたことや、元プロ野球選手の富田勝さんが宇宙葬で旅立った特徴的な事例として知られています。ただし、打ち上げは全て成功するわけではなく、ロケットの不具合による失敗も起こりうるため、注意が必要です。

宇宙葬の歴史

宇宙葬の先駆けは1997年に行われたセレスティス社の取り組みです。当時、ペガサスロケットを用いて、スタートレックのプロデューサーや著名な思想家の遺骨24人が打ち上げられました。この後、ユージン・シューメーカーの遺骨が1998年に月面に送られるなど、宇宙葬の歴史が刻まれていきました。

フィクションにおける宇宙葬

宇宙葬は、フィクション作品でもしばしば描かれています。映画「エイリアン」やアニメ「宇宙戦艦ヤマトシリーズ」では、宇宙船の航海中に乗員が亡くなり、その遺体を宇宙空間に流すという形が多く見られます。また、マンガ「プラネテス」では宇宙葬が国際的な条約で禁止される未来を描くなど、様々な視点から取材されています。

宇宙葬は情緒をともなった新たな葬送方法として、今後も注目のテーマと言えるでしょう。

もう一度検索