富有

富有柿について

富有（ふゆう）または富有柿（ふゆうがき）は、甘柿の一品種として知られています。特に育成歴や特性から、日本の甘柿の中でも高い評価を受けています。

特徴

富有柿は晩成型の代表的な品種で、収穫期は11月中下旬となります。完全甘柿であり、非常に甘みが強いことが特徴です。また、果実は肉厚で果肉が柔らかく、重さはおおよそ280グラム程度に成長します。この品種は雌花のみが付き、単為結果性が低いため、安定的な生産を確保するためには受粉が必要です。落果の影響は早期落果や後期落果ともに少なく、特に病害虫に強い点も魅力とされています。

栽培

現在では、主に西日本地域で広く栽培されています。富有柿は日本で最も生産量が多く、発祥の地である岐阜県瑞穂市を中心とした周辺地域でも多く栽培されています。これに加えて、他の生産地としては、奈良県、福岡県、和歌山県、香川県などが挙げられ、各県の生産量は以下の通りです。特に奈良県が860トンと最も生産量が多く、続いて岐阜県594トン、福岡県573トン、和歌山県485トン、香川県152トンという順番です。

沿革

富有柿の起源は1820年頃にさかのぼります。この時期、岐阜県瑞穂市の小倉ノブが御所柿を植えたことが始まりです。1857年にはその孫、小倉初衛が本格的な柿の栽培を始めました。その後、1884年に居倉村の福嶌才治が特に優れた御所柿を見つけ、接ぎ木を行い、1892年にその柿を品評会に出品して1等に入選します。これをきっかけに、富有柿が広がりを見せます。

1898年には福嶌によって「富有」と名付けられ、さらには同年の岐阜県での品評会でも高評価を得ます。1904年には、富有柿が天皇家に献上されるまでに至り、その名声は高まります。その後も富有柿は栽培が進み、さまざまなイベントが開催される中で評価を受けてきました。

友面から得られた変異種として、すなみや松本早生富有などの品種が認定されています。特に、すなみ柿は1988年に新しい品種として認定されるなど、富有柿のバリエーションに幅を持たせています。

1980年には天然記念物として指定され、1972年に富有柿発祥の地を示す碑も建立されました。こうした歴史を経て、今や富有柿は日本全国で親しまれ、甘柿の代表的な存在となっています。

富有柿の栽培は、土地や気候による影響を受けるため、とても管理が重要です。また、厳選された条件下で育てられた富有柿は、その風味や品質でも特に高い評価を得ており、国内外で人気の果物としての地位を築いています。

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