対雁

対雁の地名と歴史

対雁（ついしかり）は北海道江別市にある地名で、江別市の発祥の地とも言われています。この地域は、昔ながらの豊平川の旧河道を含んだエリアであり、現在は多くの工業団地が立地しています。また、石狩川の対岸に位置する中島も対雁の一部とされています。

地名の由来

「ついしかり」この名称は、アイヌ語に由来しているとされます。「トイシカリ（曲がりくねった川）」や「ト・エ・シカリ（沼がそこで曲がる）」、そして「トゥエシカリ（元の石狩川）」といった説が存在しています。江戸時代には「ついし狩」という表記が使われ、多くの交易が行われていた時代の痕跡があります。

近代以前の歴史

1700年に作成された『松前嶋郷帳』には石狩川流域の「石狩十三場所」として、和人とアイヌの交易施設が記されています。この中には「下ツイシカリ」と「上ツイシカリ」という二つのエリアが含まれており、地域の交通の要所としてその位置が重視されていました。

急な流路の変更により、ツイシカリ川は石狩川へと合流し、江戸時代後期からは交通の要衝としての重要性を増しました。一方で、1800年頃には地域の人口も増加し、アイヌの住居や交易拠点が活発に機能していました。

1806年の記録によれば、アイヌの住居が存在し、幕府の巡視もこの地を訪れていたことがわかります。このころ、対雁は豊富な漁場を有しており、地域の経済的な活動も盛んでした。しかし、自然災害や火災によって過去の繁栄は揺らぐことになりました。

明治時代の発展

1871年になると対雁は札幌区の一部となります。同年、宮城県からの開拓移民が21戸入植しましたが、環境の厳しさからほとんどは再転居を余儀なくされました。その後も二戸の移民は残り、対雁の開発を継続させました。

また、1872年に「対雁街道」が完成し、札幌と対雁を結ぶ陸路が整備されることによって、交通インフラが向上しました。1867年から1878年にかけては教育制度の整備も進み、江別市立対雁小学校の前身となる教育機関が設置されました。

昭和時代の変遷

昭和に入ると、対雁は再び大きな変化を迎えます。1927年には、酪農に適した土地開発が始まり、水害対策として川の直線化工事も行われました。その後も激しい自然災害や戦時の影響により、地域の発展は振り回されることもありました。

1945年、アメリカ軍の空襲があった際には、江別発電所が攻撃を受け、地域に多大な影響を与えました。また1949年には治水目的で旧豊平川と豊平川新流路を結ぶ用水路が開削され、「世田豊平川」と名付けられました。

現在の対雁

現在、対雁は江別市の重要な地域の一つとなり、工業団地や住居も増えてきました。また、教育や治水などのインフラも整備され、地域住民にとって住みよい環境を提供しています。

対雁の歴史を学ぶことは、江別市の発展を理解するために重要であり、この地域の文化や社会、経済の変遷を知る手がかりとなります。

もう一度検索