小千谷縮(おぢやちぢみ)とは
小千谷縮は、
新潟県の
小千谷市を中心とする地域で生産される麻織物です。この織物は、苧麻を使用しており、独自の技法によって作られています。特に強い撚りが施された緯糸を使用し、湯もみによって特有の「しぼ」が生まれる特徴があります。小千谷縮は、国の
重要無形文化財として認定されており、ユネスコの
無形文化遺産にも登録されています。これは、南魚沼市で生産される越後上布とともに、その文化的価値が高く評価されています。
重要文化財としての認定
小千谷縮が
重要無形文化財に指定されるためには、いくつかの要件を満たす必要があります。具体的には、すべての糸は手でうみ出された苧麻から作られなければならず、絣模様には手くびりを使用することが求められています。また、いざり機を利用して織ることが必要です。しぼとりに関しては、湯もみや足ぶみを用い、さらしには雪ざらしが行われるといった厳格な条件があります。
歴史的背景
小千谷縮の起源は
17世紀に遡ります。この時期、堀次郎将俊という人物が、越後麻布の技法を改良し、次第にこの織物が知られるようになりました。初めは「越後縮」と呼ばれ、魚沼地方全体にその技術が広まったのです。特に小千谷では、1730年ごろから縮市が開かれ、多くの商人が集まりました。この市場では、
江戸や
京都、大坂など全国の商人が集い、各地から集まった織物が取引されていました。
文化的な重要性が増すにつれて、風俗を描いた『北越志』などの記録が残されています。そこには、多くの家々が機織を行っていた様子が描かれています。しかし、
寛政の改革や
天保の改革など、時代の変化による影響もあり、生産者は損害を被ることになります。それでも、技術は発展を続け、非常に薄い反物が生産されるようになり、高い評価を得ました。
堀次郎将俊の功績
堀次郎将俊は、明石出身の浪人であり、彼の改良によって小千谷縮は名を馳せました。彼は越後麻布をもとに、強い撚りを持つ糸を使用することで独自の「しぼ」を生み出しました。また、苧麻の収穫や布のさらし方にも工夫を施し、地域の人々にその技術を広めました。彼の死後、その功績を称えた明石堂が建立され、今でも地域の人々によって敬われています。
織物商人たちの活躍
小千谷縮の商業は、さまざまな
問屋によって支えられていました。西脇家をはじめ、多くの
問屋が存在し、旅商人たちは一人で数十反の縮を持って
江戸に赴くこともありました。彼らの組織は、地域経済にも大きな影響を与え、特に
江戸時代中期から後期にかけて、その発展は目覚ましいものでした。
近年の評価と文化財としての位置づけ
1955年には「越後縮」として国の
重要無形文化財に指定され、その後
1960年には「小千谷縮・越後上布」という表記に変更されました。
1976年にはその技術を保存するための協会が設立され、
2009年にはユネスコの
無形文化遺産にも登録されました。今なお地域の人々によって大切にされ、その技術は受け継がれています。