越後上布

越後上布の魅力と歴史

越後上布（えちごじょうふ）は、新潟県南魚沼市や小千谷市を中心に生産される平織の麻織物です。大麻ではなく、主に苧麻が使用されており、伝統的な手法を守ることが重要視されています。かつては「越後縮」と呼ばれていましたが、現在では毛羽立った縮織が小千谷縮、平織が越後上布としてそれぞれ区別されています。1955年には越後上布と小千谷縮が共に重要無形文化財に指定され、2009年にはユネスコの無形文化遺産にも登録されました。これにより、越後上布は「東の越後、西の宮古」と称される日本を代表する織物となっています。

雪晒しの風景

越後上布の代表的な工程は、雪晒しです。特に2月から3月の快晴の日には、雪の上に布が晒される光景が広がり、新潟の名物となっています。この雪晒しにより、織物の質が一層高まります。また、この工法は地域の文化と自然を生かした伝統的なものであり、越後上布の品質を確保するために欠かせないプロセスです。

重要無形文化財としての規定

越後上布が重要無形文化財に指定されるためには、いくつかの基準が定められています。これには、手うみした苧麻の糸を使うこと、手くびりによる絣模様の付与、いざり機を利用した織り方、湯もみや足ぶみによるしぼとり、そして雪晒しによるさらしがあります。こうした技術は越後上布・小千谷縮布技術保存協会の会員のみが承認された方法で製作されるため、伝統の継承が大切にされています。地域では、この重要無形文化財技術指定外の越後上布も生産されていますが、商標によって区別されています。

越後上布の歴史

越後国での麻織物に関する歴史は古く、天平勝宝年間（749 - 757年）には「越布」が朝廷に献上されて正倉院に収められています。平安時代の『延喜式』には、越後の布が宮廷に供される様子が記録されています。鎌倉時代には、大将軍就任祝いに奉納されたとの記録もあり、越後布は当時から貴重な品とされていました。

南北朝時代に上杉氏が守護の座に就くと、越後上布の産業も奨励されます。室町時代には、越後布が幕府の公服となり、さらに需要が高まりました。権力者への贈り物としても重用され、上杉謙信や上杉景勝による献上の記録も残っています。

江戸時代には、堀将俊という文人が小千谷縮の開発に成功し、越後上布の技術革新を促進しました。この時期、越後上布は贅沢品とされ、奢侈禁止令の対象になるなど、その価値が高まりました。

結論

越後上布は、長い歴史と独自の技術を持つ日本の織物であり、地域の文化や自然を反映した重要な文化遺産です。雪晒しの風景や、重要無形文化財の基準を守りながら、今もなおその技術は受け継がれています。今日では、越後上布は新潟の誇るべき伝統工芸として、多くの人々に愛されています。

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