小原ブラス

小原ブラス: ロシア系日本人タレントの歩み

生い立ちと幼少期

小原ブラス（こばら ブラス）は1992年4月20日、ロシアのハバロフスク市に生まれました。彼がまだ胎内にいた頃、ソビエト連邦は崩壊し、ロシア連邦が成立しました。ロシア人の両親のもとに生まれたブラスは、社会主義から資本主義へと移行する時代に育ったため、その影響を深く受けて育ちました。この時期、ロシアは非常に経済的に困難な状況にあり、人々は農作物の物々交換を行いながら日々をやり過ごしていました。父方の家系は政治家一族でしたが、母親は民族舞踊団に所属し、世界中を巡る歌手としても活動していました。

ブラスが5歳の時、両親が離婚し、母親が再婚したことで兵庫県姫路市に移住しました。この時、母の再婚相手の姓「小原」を名乗り、日本での新たな生活が始まりました。彼は日本の保育園に通いながらすぐに日本語を習得し、その後も母国ロシアを訪れることがありました。この独自の体験が彼の後の活動や見解に大いに影響を与えることとなります。

学生生活

ブラスは小・中学校時代、日本で唯一の外国人として過ごしました。ロシア人の容貌が日本人とは異なるため、周囲の注目を浴びることも多く、最初は戸惑いの中で生活をしていました。運動会ではあえて目立たぬよう工夫し、幼い彼なりに「少数派」としてのアイデンティティを形成していきました。例えいじめの対象とはならなかったものの、何度かの試練を経験し、それを通じて自身を守る方法を学んでいきます。

転校を経験しながら高校に進学し、理系の特進コースに進むなど、学業にも真摯に取り組んでいました。

ニコニコ生放送と新宿二丁目

18歳の時に始めたニコニコ生放送では、特有のユーモアと魅力で多くの視聴者を引きつけました。特に『ロシア人が放送中にはじめて圧力鍋を使って大騒ぎ!?』という放送は多くの人に楽しまれ、人気を得る契機となります。

20歳を迎える直前に東京に移住し、新宿二丁目での生活が始まりました。新宿二丁目は多様な文化や性的指向に対し寛容な空間であり、ブラスはそこで本当の自分を見出していきます。ここでは、自身の性的指向を隠すことなく、自然体でのコミュニケーションを楽しめる環境に恵まれました。

外国人の支援活動と社会への影響

ブラスは日本での生活を通じて、多くの外国人が直面する困難を理解し、彼自身も外国人の視点から日本社会について発信することを目指しています。2020年には「Almost Japanese」という芸能事務所を設立し、外国人タレントのマネジメントを行うことで、彼らの活躍の場を広げる活動にも力を入れています。ブラスは「日本を理解した外国人」としての立場から、文化の架け橋となることを志しています。

性的少数者としてのメッセージ

ブラスは自らの性的指向についてもオープンであり、LGBTQの権利について積極的に発言しています。カミングアウトに対する考え方として、彼は「いちいちカミングアウトするのではなく、自然体で生きられる社会を求める」と述べています。この考えは、彼自身の過去の経験から来ており、周囲の期待に沿うことなく、自分らしくあることへの強い思いが透けて見えます。

ブラスはテレビ番組やSNSを通じて、同じくらい悩んでいる人々に向けたメッセージを発信し、意識を高める活動を続けています。これからも彼の多様性を尊重した視点や意見が社会にどのような影響を与えていくのか、注目を集めています。彼の活動が、今後の日本社会における多様性の重要性をより一層浸透させるきっかけとなることを願っています。

もう一度検索