小宮輝之

小宮輝之（こみや てるゆき）氏は、1947年11月10日、東京都千代田区神田に生まれました。恩賜上野動物園の第13代園長を務めた人物として知られ、その動物への深い愛情と知識は、多くの人々に影響を与えています。また、日本動物園水族館協会の前会長としても、日本の動物園界を牽引してきました。

生い立ちとキャリア

1972年に明治大学農学部を卒業後、東京都職員として多摩動物公園に配属され、飼育係としてのキャリアをスタートさせました。クマ、イノシシ、キツネ、ノウサギ、ガン類、コウノトリ、トキ類など、主に日本産の動物の飼育を担当し、その知識と経験を培いました。特にカリガネの繁殖やノウサギの飼育に関する功績は大きく、日本動物園水族館協会の技術研究表彰を受けるなど、その専門性は高く評価されています。

1978年には、東京動物園協会から「高碕賞飼育観察賞」を受賞。1990年には恩賜上野動物園東園飼育係長、1997年には上野動物園飼育課長、1998年には多摩動物公園飼育課長、そして2000年には恩賜上野動物園飼育課長と、着実にキャリアを重ねました。2004年8月1日には、念願の恩賜上野動物園園長に就任し、2011年7月31日までその任を務めました。

園長退任後は、公益財団法人東京動物園協会の常務理事として、動物園の運営に携わり続けました。また、公益財団法人日本鳥類保護連盟の代表理事（会長）、山階鳥類研究所の評議員、サントリー世界愛鳥基金運営委員など、多岐にわたる要職を歴任し、動物保護と研究の分野で貢献しています。

研究と著作活動

小宮氏は、動物の飼育だけでなく、研究活動にも力を注いでいます。国立情報学研究所に収録されている論文では、哺乳類や鳥類の生態、形態に関する研究成果を発表しています。特にジャイアントパンダの頭部に関する三次元画像解析や、クマ科動物の被毛に関する研究は、専門家からも注目を集めました。

また、著書も多数あり、動物に関する知識を一般の人々に分かりやすく伝えることに尽力しています。『空に広がる動物園』、『動物園で毎日働く』などの絵本から、『日本の哺乳類』、『人気のバードウォッチング野鳥図鑑』などの図鑑まで、幅広いジャンルの書籍を執筆・監修しています。特に『原寸どうぶつ図鑑 もしあの動物が隣にいたら』や、『あしあと動物園 足拓コレクターのフィールド日誌 原寸サイズ足拓コレクション』は、動物の足拓というユニークな視点から動物の魅力を伝えています。さらに、『物語上野動物園の歴史 園長が語る動物たちの140年』では、上野動物園の歴史を振り返り、動物と人間との関わりについて考察を深めています。

現在の活動

現在は、著作活動のほか、図鑑や動物番組の監修、大学や専門学校での講師など、多方面で活躍しています。動物足拓コレクター、動物糞写真家というユニークな肩書きも持ち、動物に対する深い愛情と探求心を日々追求し続けています。小宮氏の活動は、動物園の枠を超え、広く社会における動物保護への意識を高める上で、重要な役割を果たしていると言えるでしょう。

関連人物

小宮氏の活動を語る上で欠かせないのが、西山登志雄氏（東武動物公園の元園長、元名誉園長）と増井光子氏（よこはま動物園ズーラシア園長、元上野動物園長）です。彼らもまた、日本の動物園界を代表する人物であり、小宮氏と共に、日本の動物園の発展に貢献してきました。

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