小田原蒲鉾

小田原蒲鉾とは

小田原蒲鉾は、神奈川県小田原市で製造される蒲鉾のブランドであり、地域団体商標として保護されています。その起源は古く、少なくとも幕末には板付蒲鉾が作られていた記録が残っています。長年にわたり、小田原の食文化を支えてきた重要な産品です。

原料と製法の変遷

明治から大正時代にかけては、相模湾で獲れるオキギス、ムツ、イサキなどが主な原料として使われていました。しかし、昭和に入ると生産量が増大し、より安定した供給が可能なグチが主流となりました。第二次世界大戦後には、全国的にスケソウダラの冷凍すり身が普及しましたが、小田原では現在もグチの使用量が全国一を誇っています。これは、小田原蒲鉾が伝統的な製法と素材にこだわっている証と言えるでしょう。

地域団体商標としての登録

2006年11月には、小田原蒲鉾水産加工業協同組合によって「小田原蒲鉾」「小田原かまぼこ」が地域団体商標として登録されました。その後、同組合は改組され、2020年現在は「小田原蒲鉾協同組合」が商標権を保有しています。また、2022年3月には、文化庁の『100年フード』に認定され、その歴史と伝統が認められました。

小田原蒲鉾協同組合の歴史

小田原の蒲鉾業者の組織化は、明治時代の中頃に同業者の会ができたことに始まります。1940年には、戦時下の物資統制に対応するため、「小田原蒲鉾工業組合」が25名の組合員で設立されました。その後、1966年に全国蒲鉾組合の要請を受け、「小田原蒲鉾水産加工業協同組合」として改組され、水産加工工業協同組合として新たなスタートを切りました。

2020年現在、小田原蒲鉾協同組合には以下の11社が加盟しています。

伊勢兼商店
籠淸（小田原かごせい）
杉兼商店
杉清商店
鈴廣かまぼこ
鈴松蒲鉾店
田代吉右衛門本店
土岩商店
山一蒲鉾店
山上蒲鉾店
わきや商店

これらの企業は、伝統の味を守りながら、新たな製品開発にも積極的に取り組んでいます。

商標権を巡る訴訟

小田原蒲鉾協同組合は、組合に加入せずに「小田原かまぼこ」「小田原蒲鉾」の名称を使用していた隣接市の業者に対し、2016年3月に商標権侵害で提訴しました。しかし、この訴訟は、隣接市の業者に先使用権が認められたため、組合側の訴えは棄却されました。その後、知財高裁に持ち込まれ、最終的に和解が成立しました。この訴訟は、地域ブランドの保護の難しさを物語る出来事でした。

小田原蒲鉾の関連企業

小田原蒲鉾の製造に関わる企業として、以下の企業が知られています。

鈴廣
籠淸
丸う田代

これらの企業は、長年にわたり小田原蒲鉾の品質向上に貢献しており、地域経済の発展に大きく寄与しています。

まとめ

小田原蒲鉾は、その長い歴史と伝統、そして素材へのこだわりから、全国的にも高い評価を得ている蒲鉾です。小田原を訪れた際には、ぜひその味を確かめてみてください。

参考情報

* 小田原蒲鉾協同組合

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