尾上眞秀

尾上眞秀：国際色豊かな環境で育まれた歌舞伎役者の軌跡

2012年生まれの尾上眞秀は、日本の俳優、歌舞伎役者として活躍しています。屋号は音羽屋、定紋は重ね扇に抱き柏です。本名は寺嶋眞秀。フランス人アートディレクターのローラン・グナシアを父に、女優の寺島しのぶを母に持ち、五代目尾上菊之助を叔父、七代目尾上菊五郎を祖父、女優・司会者の富司純子を祖母に持つ、まさに役者一家に生まれたサラブレッドです。

幼少期から芸能界との関わりが深く、6歳の頃には出演したトーク番組で、家庭での3ヶ国語（フランス語、日本語、英語）を操るトリリンガルの姿が明らかになり、話題を集めました。国際色豊かな環境で育った彼の多様な才能は、後々の活動にも大きく影響を与えていると言えるでしょう。

彼の歌舞伎界への本格的なデビューは2017年5月、歌舞伎座での『七世尾上梅幸二十三回忌・十七世市村羽左衛門十七回忌追善　團菊祭五月大歌舞伎』でした。本名である寺嶋眞秀の名で「新皿屋舗月雨暈　魚屋宗五郎」に出演、酒屋丁稚与吉役を演じました。その後も、数々の歌舞伎公演に出演し、着実に経験を積んでいきます。

そして2023年2月7日、大きな転機が訪れます。フランス大使公邸にて、同年に行われる『團菊祭五月大歌舞伎』で初代尾上眞秀を名乗ることを発表しました。同年4月28日からの全体稽古より、芸名を本名から尾上眞秀へと改め、5月2日には歌舞伎座『歌舞伎座新開場十周年　團菊祭五月大歌舞伎』昼の部「音菊眞秀若武者　岩見重太郎狒々退治」で主演・岩見重太郎役を務め、歌舞伎役者としてのキャリアを本格的にスタートさせました。父親が外国人であることから、彼は十五代目市村羽左衛門に続き、歌舞伎史上2人目のハーフ歌舞伎役者となりました。

2023年5月に行われたインタビューでは、「自分に子供ができて、いつか死んで。それでも尾上眞秀が受け継がれれば」と、歌舞伎の未来を担うという強い意志を語っています。これは、彼自身の歌舞伎への深い愛情と、家系の伝統への責任感の表れと言えるでしょう。

彼のこれまでの活動は歌舞伎だけにとどまりません。テレビ番組への出演も多く、幼少期から現在まで、母である寺島しのぶとの共演も多く見られます。バラエティ番組からドキュメンタリー番組まで幅広く出演し、その端正な顔立ちと落ち着いた雰囲気で視聴者を魅了してきました。また、CMやドラマ、映画など様々な分野で活躍し、その才能は多岐に渡ります。吹き替えでは、ハリウッド映画『ソニック・ザ・ムービー』でベビーソニックの声を担当するなど、幅広い活動に注目が集まりました。

受賞歴としては、2019年1月に国立劇場特別賞を受賞しています。これは、彼が幼少期から積み重ねてきた努力と才能が認められた証と言えるでしょう。

今後の尾上眞秀の活躍から目が離せません。彼の存在は、歌舞伎界に新たな風を吹き込み、伝統を守りながら進化を続ける力となるでしょう。国際的な視点と豊かな才能を兼ね備えた彼の未来は、無限の可能性に満ち溢れています。

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