屋久杉

屋久杉（やくすぎ）

屋久杉は、鹿児島県に位置する屋久島の標高500メートル以上の山に自生する特別なスギの一種です。特に樹齢1000年以上のものを指して「屋久杉」と呼び、それ未満のものは「小杉（こすぎ）」と分別されます。屋久島に植林された杉は「地杉（じすぎ）」と呼ばれ、樹齢100年以内の小杉を指すこともあります。このような呼称の使い分けは、地元の人々にとって屋久杉が日常生活で密接に関わる貴重な資源であったことが背景にあります。

屋久杉の特徴

杉の樹齢は一般的に長くても500年程度ですが、屋久杉はその遥かに長い寿命を持っています。屋久島の特異な環境で育つ屋久杉は、栄養豊富な土壌でなく、降雨量が非常に多く湿度の高い気候の中で、年輪が詰まった特徴的な木目を形成します。この環境はまた、強い抗菌作用を持つ樹脂を多く生成し、木が腐るのを防ぐ効果もあります。屋久杉の中でも樹齢2000年以上のものが多数確認されており、その中で特に有名な存在が縄文杉や紀元杉、ウィルソン株です。

著名な屋久杉たち

縄文杉は樹齢が推定2000年から7200年とも言われる大木で、幹の周囲は16.4メートル、樹高は25.3メートルに達します。屋久島に訪れた人々を魅了してやまないこの自然の巨人は、屋久島の大株歩道に位置しています。また、大王杉も約3000年の樹齢を持ち、縄文杉に並ぶ存在感を放っています。これらの屋久杉は、樹齢を測る際に太さに基づいて推定されていますが、最近では放射線年代測定などの科学的手法によってその樹齢がより正確に確認されています。

伐採の歴史

屋久杉の伐採の歴史は1560年頃に始まり、当時117隻の小豆島の船が屋久杉材を京都に運んだ記録があります。その後、江戸時代には屋久島の僧侶が島民の貧困を見かね、屋久杉伐採を奨励しました。明治時代に入ると屋久杉の大規模な伐採が続き、1899年から1920年には憲法の改正を求める運動が展開されるなど、島民にとって深刻な問題が浮き彫りになりました。1993年には屋久島が世界遺産に認定され、以来屋久杉の伐採に対する規制が強化されていきました。

土埋木と屋久杉の保護

1982年以降、樹齢1000年を超える屋久杉の伐採は全面的に禁止され、以降は「土埋木」と呼ばれる自然に倒れた木や切り株の利用が促進されています。これにより、屋久杉は観光資源や工芸品の素材として重要視される一方で、その保護が求められるようになりました。屋久杉の未来を守るため、地域社会や保護団体が協力し、持続可能な森林管理が進められています。

屋久杉は、その膨大な樹齢と独特の特性により、屋久島の自然環境を象徴する存在となっています。今後もその魅力と重要性は増していくことでしょう。

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