山岡俊介

ジャーナリスト山岡俊介氏の軌跡：アクセスジャーナルと闘いの日々

山岡俊介氏は、1959年8月生まれの日本のジャーナリストであり、株式会社アクセスジャーナルの代表取締役を務めています。愛媛県出身で、高知県立高知追手前高等学校、神奈川大学法学部法律学科を卒業後、法政大学大学院人文科学研究科日本史学修士課程に在籍していましたが、中退しています。近現代史を専門とする彼は、20代後半からフリーランスジャーナリストとして活動を開始しました。

キャリア初期は零細編集プロダクションに勤務した後、フリーランスとして『週刊大衆』、『噂の真相』、『財界展望』といった雑誌で執筆活動を行い、精力的に取材と記事執筆に取り組んできました。1991年1月からは『週刊大衆』の専属記者として活躍しました。

2002年1月、独自の視点を持つメルマガ「東京アウトローズ」をスタートさせました。しかし、2004年9月に編集長を辞任。その後、2005年4月にはWebマガジン「ストレイドッグ」を創設し、記事配信を開始しました。同誌は2006年5月に「アクセスジャーナル」と改称され、有料購読へと移行しました。アクセスジャーナルは、山岡氏が独自に取材、執筆した記事を掲載する、独自のインターネット情報サイトとして成長を遂げました。

山岡氏のジャーナリスト人生は、決して平坦ではありませんでした。2000年末から2001年初頭にかけて、武富士社員の依頼を受けた探偵社から違法な電話盗聴を受けました。この事件は山岡氏の告訴に繋がり、武富士社長の武井保雄氏の逮捕（2003年12月）という結果に結び付きました。さらに、2005年7月には自宅が放火されるという事件にも見舞われました。犯人は未だに特定されておらず、この事件はジャーナリストへの脅迫行為を示唆するものです。2007年8月には、アクセスジャーナル宛てに脅迫状とカッターナイフの刃が送付されるという事件も発生しました。

法的紛争にも度々直面しました。2009年6月には、田邊勝己弁護士から名誉毀損で訴えられ、東京地裁で初公判が開かれました。また、2012年には、ユニバーサルエンターテインメント社に関する記事を掲載したことが発端で、同社から訴訟を起こされました。一審ではユニバーサルエンターテインメント社の主張が認められ、山岡氏には謝罪広告掲載と記事削除、慰謝料支払いが命じられました。控訴・上告後も判決はほぼ維持され、山岡氏は敗訴しました。しかし、同様の内容の記事を掲載したロイター通信の訴訟では、ロイターの勝訴が確定しました。このことは、情報発信におけるリスクと、法的な判断の不透明さを浮き彫りにしています。

アクセスジャーナルの購読者数は、報道によると1000人から1500人程度とされています。山岡氏は、有料の情報提供というビジネスモデルについて、コストを理解してもらえない現状を嘆く一方で、自分の判断で自由に発信できる面白さを強調しています。

山岡氏は、NHKや新聞などのメディアにも度々出演、取材に応じています。2013年にはNHK「ニュースウオッチ9」でインターネット情報紙の先駆けとして紹介され、2014年には毎日新聞のミニコミ紙に関する記事で取材を受けました。アクセスジャーナルの運営以外にも、山岡氏は数々の著書を出版しています。主な著書として、『誰も書かなかったアムウェイ』、『アムウェイ商法を告発する』、『銀バエ　実録武富士盗聴事件』、『福島第一原発潜入記　高濃度汚染現場と作業員の真実』などがあります。

2014年には、自身の名前を騙った質問状が上場企業に送付された事件が発生し、アクセスジャーナル上で注意を呼びかけました。同年には、特定秘密保護法に反対する訴訟にも参加しています。長年のジャーナリスト活動を通じて、山岡氏は数々の訴訟を経験していますが、週刊誌『週刊朝日』の報道によれば、22件の訴訟のうち19勝1敗2分（和解）という高い勝訴率を誇っています。2017年には、メールマガジン「まぐまぐ」の「MAGMAG AWARDS 2017」でアクセスジャーナルがジャーナリスト部門2位を獲得するなど、その活動は一定の評価を受けています。

2018年には、安倍首相自宅放火未遂事件に関する記事をアクセスジャーナルで連載し、大きな話題を呼びました。この事件に関する情報は、山本太郎参議院議員の質問や、山岡氏のラジオ出演、書籍への掲載などを通して広く知られるようになりました。

2022年5月からは、アクセスジャーナルのYouTubeチャンネル「深層追及」を開始し、動画配信にも乗り出しました。2023年2月には、公認会計士能勢元氏との間で名誉棄損訴訟があり、山岡氏は敗訴しました。2023年3月には、安倍晋三元首相に関するドキュメンタリー映画『妖怪の孫』に出演し、安倍元首相自宅放火未遂事件に関する証言を行っています。

山岡俊介氏のジャーナリストとしての歩みは、数々の困難と挑戦に満ちたものでした。彼の活動は、日本のジャーナリズムのあり方や、情報社会における表現の自由、そしてメディアの役割について、多くの示唆を与えてくれます。

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