山梨県立博物館

山梨県立博物館

山梨県立博物館（やまなしけんりつはくぶつかん）は、山梨県笛吹市御坂町成田にある総合博物館です。2005年10月15日に開館し、地域の自然や人間の歴史をテーマにしています。愛称は「かいじあむ」で、館長は守屋正彦氏が務め、前館長の平川南氏が名誉館長に就任しています。

基本テーマと展示内容

この博物館の基本的なテーマは「山梨の自然と人」であり、自然に関する展示と歴史に関する展示が融合しています。常設展示は原始時代から現代に至るまでの時系列に沿って行われていますが、来館者は自由に観覧することができます。また、「水に取り組む」や「信仰の足跡」といった特定のテーマに基づき展示が構成されています。

沿革の背景

山梨県はかつて「文化不毛の地」と言われていましたが、戦後から郷土研究が活発化し、1961年には山梨郷土研究会が設立されました。この活動がきっかけとなり、1962年には県立博物館の創設運動が具体化しました。その後、県立博物館条例が整備されましたが、旧睦沢小学校の移転問題があり、県立博物館は実現には至りませんでした。

博物館の設立の動きが再び活発になったのは1990年からで、郷土の研究や文化財保護のための県立博物館が待望されました。開館にあたっては、山梨出身の歴史学者網野善彦が中心となり、自然と人々の関係を深く探求するコンセプトが決まりました。

収蔵品と地域とのつながり

博物館の収蔵品は、山梨県に関連した資料を寄贈、購入、寄託の形で収集しており、19万点以上のアイテムがあります。これには、歴史、民俗、考古、美術工芸、自然、映像資料などがあり、特に山梨県立図書館から移管された資料も重要なコレクションとなっています。

地域に根ざした活動も行われており、収蔵品に基づいたツアーや、地域行事の実施、民俗芸能の実演などが行われています。特に開館初年度の企画展「やまなしの道祖神祭り」では、多くの地域と連携し、地域の伝統行事を盛り上げることに成功しました。

調査・研究活動

博物館では、富士山に関する多様な調査や研究活動も進行しており、「富士山と人々の歴史」や「甲斐の治水・利水技術に関する研究」などが行われています。これにより、地域の自然や歴史に対する理解を深め、資料の保存や解明を図っています。

常設展示

常設展示は三つのセクション、「山梨の風土とくらし」、「甲斐を往き交う群像」、「共生する社会」で構成されています。これらの展示では、山梨の文化や歴史、そして自然との関わりを具体的に見ることができるように工夫されています。

• - 山梨の風土とくらし：古代から現代までの生活様式や地域の特産品に焦点を当て、ジオラマや模型を用いて表現されています。
• - 甲斐を往き交う群像：地域が閉ざされた山国ではなく、開かれた文化交流の場であったことを示す展示です。
• - 共生する社会：近代の自然や人との関わりをテーマに、地方病や水害の歴史等、現代社会における課題を考察する展示となっています。

建築とアクセス情報

博物館は鉄筋コンクリート造の平屋で、バリアフリー対応が施されています。敷地面積は約65,000平方メートルで、様々な展示部門が整えられています。また、交通アクセスも便利で、JR甲府駅からのバス利用や車でのアクセスが可能です。

利用情報

開館時間は午前9時から午後5時まで、入館料金は大人500円、中高生は210円などで、多様な利用者の訪問を促しています。特に「県民の日」には入館が無料となる特典があり、地域の人々に愛されています。

このように、山梨県立博物館は地域文化の保全・発信の場として重要な役割を果たしています。自然と人が共生する豊かな文化の魅力を知ることができる場所です。

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