岡太地

岡太地氏（おか だいち、1980年8月14日生まれ）は、日本の映画監督であり、現在は武蔵野美術大学映像学科の非常勤講師としても教壇に立つ教育者です。京都府宇治市で誕生し、京田辺市で育ちました。

キャリアの始まりと評価

岡氏は大阪芸術大学芸術学部映像学科で映像表現の専門知識を深め、同大学大学院修士課程を修了しました。大学在学中から自主映画製作に情熱を注ぎ始め、その才能は早期に認められました。卒業制作として発表した映画『トロイの欲情』（2004年）は、第27回ぴあフィルムフェスティバルと第7回京都国際学生映画祭で相次いで準グランプリを受賞し、映画界での注目を集めました。この作品は、対象に極端に接近したクローズアップと、遠景から俯瞰する構図のみで画面を構成するという、非常に実験的かつ特異なスタイルを持っており、その内容と形式から評論家の間では賛否両論を巻き起こしたことでも知られています。

助成事業を通じた活動

卒業後も創作活動は続き、2006年には大阪市映像文化振興事業「シネアスト・オーガニゼーション」からの助成金を得て、映画『放流人間』を製作しました。同年、特定非営利活動法人映像産業振興機構（VIPO）が文化庁から委嘱を受けて実施する「若手映画作家育成プロジェクト2006」に選ばれ、短編映画『屋根の上の赤い女』を監督。これらのプロジェクトを通じて、監督としてのキャリアを確固たるものとしました。

作品に共通するテーマと称賛

岡監督が手掛ける多くの作品には、一貫して「男女間の恋愛」という重要なテーマが流れています。人間関係における愛情、欲望、葛藤といった複雑な感情や関係性の機微を鋭く描き出すその手腕は、映画評論家の阿部嘉昭氏から「岡太地は恋愛の神様だ」と絶賛されるほど、高い評価を受けています。感情の深奥に迫る視点は、観る者に強い印象を与えます。

活動領域の広がり

岡監督の表現活動は、劇場公開を主眼とした劇映画の製作だけに留まりません。近年は、その映像ディレクションや脚本執筆の才能を活かし、活動の場を大きく拡大しています。具体的には、企業や商品の魅力を伝えるテレビCM、アーティストの世界観を映像化するミュージックビデオ（MV）、様々な情報を伝えるテレビ番組、インターネット上で展開されるwebドラマ、さらには物語世界を構築するゲームシナリオの制作まで、多岐にわたるメディアでそのクリエイティビティを発揮しています。この幅広い活動は、彼の多才さを示しています。

主な作品

これまでに監督や脚本などを担当した主な作品は以下の通りです。

映画
『トロイの欲情』（2004年、監督・脚本）
『放流人間』（2007年、監督・脚本）
『屋根の上の赤い女』（2007年、監督・脚本）
『ゆれもせで』（2011年、脚本）
『きをつけてね』（2011年、監督）
『レトロの愛情』（2013年、監督）
『川越街道』（2016年、監督・脚本・編集）
『すでにないている。』（2018年、監督・脚本・編集）
『よろこび』（2018年、監督・脚本・編集）

ゲーム
『史上最強 宮本ジュリア』（2008年、シナリオ） - 携帯電話ゲーム
* 『勇者ああああ』（2015年、シナリオ） - iOS

補足

氏名について、時折「岡大地」と表記されることがありますが、正しくは「岡太地」です。

現在も精力的に創作活動を続ける一方、武蔵野美術大学での指導を通じて、次世代を担う映像作家たちの育成にも力を注いでいます。多岐にわたる分野での活躍は、今後のさらなる創作にも期待を抱かせます。

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