岡田玉山

岡田 玉山（おかだ ぎょくざん）

岡田玉山は、江戸時代中期から後期にかけて活動した大坂出身の浮世絵師です。彼の本名は尚友で、通称を友助、字は子徳としています。また、「金陵斎」という号も持ち、浮世絵の世界では名を馳せました。玉山は月岡雪鼎または蔀関月の門下にいたとされています。

彼の活動は、近世上方における絵本挿絵の第一人者と呼ばれ、『浮世絵類考』には「板刻密画の祖」とも記されています。玉山は清らかな線描と緻密な描写に優れ、特に板刻本の下絵が得意でした。寛政2年（1790年）以前には法橋に叙せられ、「法橋玉山」としても知られています。

玉山の作品として最初に記録に残るものは、天明7年（1787年）に出願された『女教訓小倉錦』および『百人一首玉容色紙』で、これらの作品には「法橋岡田玉山」の名が明記されています。しかし、これらの作品は現存しておらず、同年11月に出願された『唐土廿四孝』が現在確認可能な中で最古の作品です。

また、文化の時代へ入ると、彼が手がけた作品の中で特に著名なものには、1797年刊行の『絵本太閤記』や1802年刊行の『唐土名勝図会』などがあります。これらの挿絵は、画面全体を細密に埋め尽くすような描写と躍動感に満ちているのが特徴です。玉山は、中国の版画や西洋の銅版画から影響を受けたと考えられていますが、どのようにしてそれらの技法を習得したのかは不明です。しかし、彼が木村蒹葭堂との関係から学んでいた可能性が高いことは推察されています。

肉筆画でも、玉山は興味深い作品を数多く制作しています。特に「月下美人図」などの浮世絵風の美人画や、漢画の影響を受けた「阿房宮図」も知られています。実際に、玉山は弟子に対して京都でアクの強い美人画で知られる祇園井特の作品を模写させたとの記録もあります。

玉山の創作活動は続きましたが、彼の作品の一つ『絵本太閤記』が幕府の忌諱に抵触したことで、文化元年（1804年）には絶版を命じられてしまいます。この作品の影響を受けて錦絵を制作した喜多川歌麿も同様に咎めを受け、短期間の入牢と手鎖の刑に処せられています。

文化9年（1812年）に73歳または76歳で亡くなったとされていますが、一部の記録では文化5年（1808年）には既にこの世を去っていたとも考えられています。玉山の門人には石田玉山がいると伝えられ、さらには続く葛飾北斎や歌川国芳も玉山の版本挿絵からその細やかな描写技術や動的なスタイルを学び取り、各自の作品に取り入れています。

代表作品

• - 版本

『絵本太閤記』 (寛政9年 - 享和2年) - 玉山画
『阿也可之譚』 - 玉山作・画。序文には「乙丑仲冬」と記されている。
『唐土名勝図会』 (文化3年) - 玉山編述・画、他の作画者として岡熊嶽や大原東野も関与。

• - 肉筆画

彼の肉筆画も非常に高く評価されています。

岡田玉山の作品は、江戸時代の浮世絵における重要な位置を占めており、その緻密なスタイルは今日でも多くの人々に愛されています。彼の影響は、後世の多くの浮世絵師にも広がり、様々な作品にその息吹を感じることができます。

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