島田慎二

島田慎二は1970年11月5日、新潟県岩船郡朝日村（現・村上市）に生まれた日本の実業家、経営コンサルタントである。現在は公益社団法人ジャパン・プロフェッショナル・バスケットボールリーグ（B.LEAGUE）の理事長、すなわちチェアマンを務め、日本バスケットボール界の発展に尽力している。過去には株式会社リカオン代表取締役や、経営危機から人気クラブへと変貌を遂げた千葉ジェッツふなばしの代表取締役会長を務めた。

日本大学山形高校時代はサッカー部に所属し、後にプロサッカー選手となる高橋健二とチームメイトだった。日本大学法学部に進学後は、学業の傍らアルバイトに時間を費やし、また一時的に俳優を志して「欽ちゃん劇団」に所属するなど、多様な経験を積んだ。大学には、後にバスケットボール界で重要な役割を担う高橋雅弘という先輩がいた。

大学卒業後、彼は旅行業界へ足を踏み入れる。まずマップ・インターナショナル（現・エイチ・アイ・エスの一部）に入社。1995年には独立し、法人向け旅行会社の株式会社ウエストシップを設立する。2001年のアメリカ同時多発テロを機に同社を退き、海外出張専門旅行会社として株式会社ハルインターナショナルを設立し、社長に就任した。

2010年、島田はハルインターナショナルの全株式をリログループに売却。その後、コンサルティング会社の株式会社リカオンを設立した。この時期は、働き始めた当初から抱いていた「30代での引退」という目標を意識し、事実上のセミリタイア生活を送っていた。リカオンという社名は、二人の娘の名前から名付けられたという。

彼のキャリアがバスケットボール界と交差するのは2012年である。当時、経営難に喘いでいたbjリーグ所属の千葉ジェッツの運営会社ASPEの社長に就任した。島田は、NBLへのリーグ移籍、地域密着戦略の推進、マーケティングの強化といった改革を断行。これにより、クラブは経営を立て直し、Bリーグ発足後にはリーグトップクラスの観客動員を誇る人気クラブへと成長させた。この手腕は「再生請負人」と称される所以となった。

2016年、NBLとbjリーグが統合してB.LEAGUEが誕生すると、島田はJPBLの理事に名を連ねる。さらに2017年には、千葉ジェッツの代表と兼務しながらBリーグの副理事長（副チェアマン）に就任し、リーグ運営の中枢に関わるようになった。

2019年には千葉ジェッツふなばしの社長を退任し、会長職に就いた。また、バスケットボール界に留まらず、日本トップリーグ連携機構やBリーグクラブの経営アドバイザー、さらにはライジングゼファーフクオカのアドバイザー、プロテコンドーを含む全日本テコンドー協会の副会長など、スポーツビジネスや他競技にも活動の場を広げた。

2020年、島田はBリーグのトップであるチェアマンに就任する。同年5月に次期チェアマン候補となることが公表され、6月の臨時会員総会と理事会を経て正式決定した。チェアマン就任にあたり、彼は千葉ジェッツ会長を含む全ての兼務職を退き、Bリーグの発展に専念する姿勢を示した。同時に、日本バスケットボール協会の副会長も務めることになった。

チェアマンとしての活動の一環として、2020年10月にはバスケットボール専門メディアの音声コンテンツ『島田のマイク』を開始。自ら各地のクラブやアリーナを訪れ、バスケットボールの熱量や関係者の思い、地域の魅力を発信すると同時に、ファンとの直接的なコミュニケーションを図るツールとして活用している。開始以来、毎週休むことなく配信を続け、2022年にはホスティング先をニッポン放送Podcast Stationに変更するなど、積極的な情報発信を続けている。

その経営哲学や千葉ジェッツ再建の手法については、著書『千葉ジェッツの奇跡 Ｂリーグ集客ナンバー１クラブの秘密』（KADOKAWA、2017年）にまとめられている。また、彼のキャリアに焦点を当てた関連図書として、摩周子氏による『再生請負人 島田慎二 B.LEAGUEチェアマン』も出版されている。これらの著作は、島田氏のリーダーシップやバスケットボール界での取り組みを理解する上で貴重な資料となっている。

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