差別

差別の概念とその研究

差別（さべつ）とは、特定の集団に属する個人や属性を理由に、異なる扱いをする行為を指します。国際連合は、差別が全ての除外行為や拒否行為に関連するとしています。人種差別や性差別といった代表的な形態があり、正当な理由のない不当な区別が不適切であることは法的にも認識されています。

研究の歴史

20世紀から、差別についての研究が社会学や心理学の領域で進められています。社会学の研究では、コックスのマルクス主義的アプローチや、パークとヴァン・デン・ベルクによる優劣集団の競争を描いた分析が行われてきました。心理学的には、差別を偏見の表れと位置付け、その背景にあるメカニズムを探る研究が進められています。オールポートの研究のように、偏見がどのように形成されるかを理解することで、差別を説明しようとする試みも存在します。

マートンの準拠集団モデルは、集団間の敵対関係ではなく、同じ集団内の特有のカテゴリー化が差別についての新たな視点を提供することを示唆しています。また、ミュルダールの『アメリカのジレンマ』は、差別の根源が社会規範とその応答にあることを提起し、被差別者の同定には特定の関係性が必要であると言及しています。

差別の証明の難しさ

差別の存在を証明することは困難です。その理由は、正当性の判断が告発者の表現力や受取者の感受性に影響されるためです。差別は実在しますが、その定義が難しいことも研究者の間で理解されています。微細な形での差別は、目に見えるものよりも遥かに深刻な影響を及ぼすことがあると示唆されています。

差別の種類

差別は主に「偏頗的・統計的差別」と「制度的差別」に分類されます。前者は個人の意見や偏見から生じるもので、人種や性別、年齢など様々な属性に基づいて扱いが異なることを指します。このような日常的な偏頗的差別でも、個人の生活や精神的な健康に重大な影響を与えることが研究で示されています。

視点を変えると、統計的差別は特定の集団に対する既存の固定観念から生じ、雇用や教育、刑事司法において問題となることがあります。この場合、差別を最小限に抑える政策が求められています。

日本における差別の現状

戦後の日本では「正当な理由のない差別」が憲法で禁止されていますが、多くの法律には年齢条項があり、合理的配慮の枠内での差別が合法とされる場合があります。たとえば、男女間の労働条件の違いには合理的理由があるとされ、合憲と見なされています。

心理的な側面として、日本社会には「身内を清浄、不浄な存在を排除する」という文化的背景があったと指摘されることがあります。学者のガヴァン・マコーマックは、国連の報告書において日本を差別的思考が根深い社会と評価しました。

結論

差別は、社会の多様性を尊重する上での大きな障害であり、これに対する理解と対策は不可欠です。現代社会における法律や国際規約は個人の権利平等を保障しており、差別的行為に対しては厳しい対処が求められています。

もう一度検索