市原悦子

市原 悦子について

市原悦子（いちはら えつこ、1936年1月24日 - 2019年1月12日）は、日本の女優および声優であり、長いキャリアを通じて演技の分野で数多くの賞を受け、支持を集めました。本名は塩見悦子で、千葉県千葉市に生まれ育ちました。彼女は早稲田大学第二文学部を卒業し、演劇への情熱をもって養成所に入所。これが彼女の演技キャリアの出発点となりました。

来歴

市原は銀行員の父と元教員の母のもと、長女として生まれました。彼女は9歳の時に疎開先で敗戦を迎え、その後千葉市の中学校に転校。ここで演劇クラブに参加し、演劇の楽しさを知りました。演劇部では優秀な成績を収め、引き続き演技への道を進むことを決意します。高校を卒業した後、一度は富士銀行への就職が決まっていましたが、演劇への情熱に抗えず、劇団俳優座養成所に入所しました。

1957年には劇団に入団し、初舞台『りこうなお嫁さん』でデビュー。翌年には追随するようにさまざまな舞台作品に出演し、次第に評価を得ていきました。1959年には『千鳥』で芸術祭奨励賞を受賞し、さらにその後の1963年には新劇演劇賞も獲得。その後もゴールデン・アロー賞新人賞、都民文化栄誉賞など、多数の賞を受けることになります。

私生活と晩年

彼女は1961年に養成所の同期である演出家・塩見哲と結婚しましたが、子どもには恵まれませんでした。おしどり夫婦として知られ、彼との結婚生活は市原の生涯において重要な部分を占めていました。彼女は1971年に劇団を退団し、1972年には自ら劇団を設立。それに続き、1987年には「有限会社ワンダー・プロダクション」を創設しました。

市原は1975年から始まったテレビアニメ『まんが日本昔ばなし』において、数多くのキャラクターの声を担当し、その後も多くのテレビドラマや映画で活躍しました。1983年からは『家政婦は見た!』に主演し、この作品は彼女の代表作として知られています。テレビドラマも数多く出演し、その名声を確立しました。

受賞歴

彼女の演技力は折り紙付きで、1990年には映画『黒い雨』の演技が評価され、日本アカデミー賞の最優秀助演女優賞を受賞しています。これに続く1998年にも優秀助演女優賞を獲得するなど、演技界における存在感を示しました。特に『家政婦は見た!』シリーズは四半世紀以上にわたって続き、高い視聴率を誇る人気作品となりました。

最期

2011年には福島第一原子力発電所事故に関与し、原発ゼロを目指す活動にも参加。2014年には夫の塩見哲が死去し、別れを経た後も彼女は舞台活動を再開しましたが、2017年には体調を崩し、その後療養生活に入ります。2018年には入院し、最終的に心不全により死去しました。享年82であり、その生涯は多くの人々に愛されました。彼女の遺産として残る功績は、後世に語り継がれることでしょう。

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