市野龍一

市野 龍一（いちの りゅういち）は、1962年10月29日に兵庫県西宮市で生まれた日本の映像監督、そして舞台演出家です。そのキャリアは多岐にわたり、特に特撮作品の世界で知られています。

上智大学文学部社会学科を卒業後、横浜放送映画専門学院（現在の日本映画大学）で映像制作を学びました。1990年にはTBSのテレビドラマ『はいすくーる落書2』で監督としての第一歩を踏み出し、同年オフィス・トゥー・ワンと契約し、情報番組などのディレクターとしても活躍しました。

1998年にフリーランスとして独立すると、活動の中心をドラマや映画へと移しました。翌1999年には、円谷プロダクションが手掛ける特撮ドラマ『ウルトラマンガイア』に参加する機会を得ます。これは、当初予定されていた別の監督のスケジュールが合わなかったため、ラインプロデューサーからの依頼を受けての参加でした。この『ウルトラマンガイア』を皮切りに、『ブースカ!ブースカ!!』、『ウルトラマンコスモス』といった円谷作品に継続して携わることになります。特に『ウルトラマンコスモス』では、劇中に運送業者役としてカメオ出演し、役者としてもクレジットされた経験を持っています。

2003年には、当時注目を集めていたライブドアの堀江貴文氏が製作総指揮を務めるネットシネマプロジェクトの発足に参画しました。ここで監督した初の長編映画作品『うさぎのもちつき』は好評を博し、続編の製作や、BS-TBSでの連続ドラマ化にもつながりました。

2005年以降は、『超星艦隊セイザーX』をはじめ、『風魔の小次郎』、『RHプラス』、『東京ゴーストトリップ』、『俺たちは天使だ！No Angel No Luck』といった、ゼネラルエンタテイメント制作のアクション系ドラマシリーズで監督や脚本を担当しました。

DVDシネマの発表（2009年）や、2010年からはNHK海外放送（NHKワールド）の番組でプロデュース、構成、撮影、演出を手がけるなど、その活動範囲は広がり続けます。また、しがらみ屋台という名義での舞台作品の作・演出、さらには特技であるダイビングを活かした水中撮影など、ジャンルにとらわれない柔軟な姿勢を見せています。

2012年末には、長年タッグを組んできた俳優の赤星昇一郎氏と共に、下北沢に「マッチボックスシアター Reading Cafe ピカイチ」を立ち上げ、共同経営者として店内のライブやイベントの企画・プロデュースを行う傍ら、俳優向けのワークショップも開催しました。2013年からは、FREE（S）プロデュースの舞台作品でも作・演出を担当しています。

2014年以降は、『ぱちんこウルトラバトル烈伝』などのCR（パチンコ）機の、実写パートの映像監督としても活躍。2015年には、撮影、編集、監督の全てを自身で手がける自主制作映画『てまえみそ』や『ピカゼロ』を発表しました。

特筆すべきは、2016年に『ウルトラマンオーブ』で15年ぶりにウルトラマンテレビシリーズへの復帰を果たし、この作品で特技監督としてもデビューを飾ったことです。その後も、『ウルトラマンジード』（2017年）、『ウルトラマンR／B|ウルトラマンR_B』（2018年）とシリーズ監督を務め、2019年には『ウルトラマンタイガ』で、ウルトラシリーズ史上初めてメイン監督という重責を担いました。そして、2020年には『劇場版 ウルトラマンタイガ ニュージェネクライマックス』で商業映画監督デビューも果たしています。

近年の活動としては、2021年に自身が原作・脚本・監督を務めた配信連続SFドラマ『Angel Sync 333』をしがらみ屋台名義で自主製作するなど、常に新しい表現を追求しています。さらに、日本映画学校や和歌山大学などの教育機関、様々な俳優養成所で講師を務め、後進の指導にも熱心に取り組んでいます。各種イベントやコンテストで審査員を歴任するなど、多方面から日本の映像・エンターテインメント界に貢献し続けているクリエイターです。

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