年の差婚

年の差婚とは、年齢に大きな差がある者同士の結婚を指す言葉です。具体的に何歳差以上を年の差婚とするかという明確な基準はありませんが、社会的な現象として広く認識されています。

法制度上の観点

日本では、民法731条によって婚姻可能な年齢の下限は定められていますが、上限は設定されていません。また、結婚する二人の年齢差に関する規定もないため、双方が結婚可能な年齢に達していれば、年齢差に関わらず結婚は法的に認められます。

文化的な背景

東洋の文化では、干支が一回り違うと12歳差となることから、「一回り違う」という表現が年齢差を表す際に用いられます。また、中国語には年の差婚を「梨花海棠（りかかいどう）」と称する雅な表現があります。これは、梨の花の白さを老人の白い髪に、ハナカイドウの花の淡紅色を若者の紅顔に例えたものです。

近年の研究分析

2000年代以降、特に日本において、社会の変化とともに年の差婚が顕著になってきていると指摘されています。研究者による分析では、以下の点が挙げられます。

社会的な価値観の変化: 牛窪恵氏によれば、年の差婚は、従来の結婚観にとらわれず、より自由な価値観に基づく結婚を求める社会的な動きの一環とされています。特に2010年代に入ってから、若い女性の間でこの傾向が顕著になっているとされています。
結婚対象の年齢幅の拡大: マクロミルの調査（2011年）によると、10歳年上までの異性を結婚対象として考えていると回答した女性は36.5%に上り、男性の27.0%を上回っています。このデータからも、女性が結婚相手の年齢幅を広げている傾向が伺えます。
年齢よりも内面重視の傾向: 代々木忠氏は、年の差婚が増加している背景には、外見よりも内面的な魅力を重視する人が増えていることを指摘しています。また、人間関係を築くこと自体に抵抗を感じる人が増えている可能性も示唆しています。
統計データ: 厚生労働省の2013年の調査では、初婚夫婦のうち、同い年の夫婦が21%であるのに対し、妻が4歳以上年上の夫婦は7%、夫が7歳以上年上の夫婦は2005年以降1割以上を維持しています。これは、年の差婚が一定の割合で存在し続けていることを示唆しています。

有名人の年の差婚

芸能人などの有名人の年の差婚は、以前からしばしばメディアで取り上げられ、話題になることがあります。2011年には、加藤茶氏が45歳年下の女性と結婚したことが話題となり、「年の差婚」という言葉が新語・流行語大賞にノミネートされました（ただし、トップ10には選出されませんでした）。

その他の関連情報

年の差婚に関連する用語として、以下のようなものがあります。

親子婚: 親子ほど年齢が離れた者同士の結婚を指します。
高齢出産: 高齢で出産することを指し、年の差婚の場合には、女性が高齢出産となるケースもあります。
晩婚化: 結婚年齢が上昇する傾向を指します。年の差婚と関連して、晩婚化が進行している中で、年の差婚を選択する人が増えているという見方もできます。
トロフィーワイフ（トロフィーハズバンド）: 社会的な成功を収めた男性（女性）が、若い女性（男性）を配偶者として迎え入れることを指す言葉です。年の差婚の形態の一つとして捉えられることもあります。

年の差婚は、多様な価値観が尊重される現代社会において、一つの結婚の形として受け入れられつつあります。年齢差にとらわれず、二人の関係性を重視する結婚のあり方として、今後も注目されていくでしょう。

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