当事者

当事者とは

当事者（とうじしゃ）は、特定の事案や事件、法律関係に直接に関与する人物を意味します。一般に「当事者」という用語は、法律の文脈で用いられ、特に民事法において重要な役割を果たします。対義語として「第三者」が存在し、これは当事者とは異なり、問題に直接には関与しない者を指します。

法律用語としての当事者

法律の側面から見ると、当事者は具体的な事件や紛争を直接体験した、または関与する主体を示します。例えば、民事訴訟においては「その名において訴え又は訴えられた者」として定義されています。このため、当事者の主観的な状態は、意思表示や法的行為の効力に影響を与える可能性があります。これは錯誤、詐欺、強迫などによるものです。

また、立場が異なる当事者間で有効な法律行為であったとしても、対抗要件を満たさずに第三者に対抗できない事例も存在します（民法第177条参照）。

当事者の確定

訴訟の中で、誰が当事者に当たるかを明確にすることが求められます。これは、有効な訴訟を行うために不可欠な要素です。通説として、訴状に記載された者が基本的に当事者と見なされますが、例外的なケースもいくつか存在します。

氏名冒用訴訟

氏名冒用訴訟とは、訴状に記載された当事者の名前や住所が偽造された場合を指します。この場合、実際の被告の名前が冒用されていることが多く、判決の騙取や訴訟詐欺が問題となります。判決を騙取されても、被害者は請求異議の訴えや民事再審を行うことが可能です。

死者名義訴訟

訴訟の当事者のうち一方がすでに死亡している場合、原則として訴えは不適法となります。しかし、原告が訴状提出後に死亡した場合はその相続人が引き継ぐことができます。反対に、被告が死亡している場合は原則無効となりますが、相続人が実質的に当事者として行動している場合は、相続人も当事者として認められることがあります。

法人格否認

訴訟においては、被告が法人格を濫用している場合、法人格否認の問題が生じます。この場合、債務名義に記載の被告だけが対象とされるため、訴訟法における当事者の確認が重要になります。背後にいる実体的な人物を考慮しなければ、訴訟の結果が変わる可能性があるため、注意が必要です。

当事者能力と当事者適格

当事者能力

当事者能力とは、一般的に訴訟における当事者たる資格を指し、原則として実体法上権利能力を持つ者が認められます。例外として、法人格のない社団も当事者能力が認められることがあります。

当事者適格

当事者適格は、特定の訴訟において、当事者として資格を持ち判決の名宛人となれる立場のことを指します。行政事件訴訟法では、要件が厳密に設定され、裁判例も蓄積されています。

各国法における当事者

アメリカ法

アメリカにおいては、民事・刑事訴訟で当事者を特定する際、氏名不詳者として「John Doe」や「Jane Doe」を考慮することが一般的です。特に、訴訟提起時に被告の本名が不明な場合、証拠開示手続によって氏名を特定する方法が取られます。これにより、時効の猶予も可能です。

結論

当事者は、法律上の問題解決において中心的な存在であり、様々な法律的要素が絡み合うため、その理解は非常に重要です。また、国により法的な取り扱い方にも違いがあるため、国際的な視点からも頭に入れておくことが求められます。

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