御用学者

御用学者（ごようがくしゃ）

御用学者とは、特に日本において、政府や権力者に対して迎合し、彼らに都合の良い意見を唱える学者のことを指します。この語源は、江戸時代の幕府が雇用した学者たちが、歴史の編纂などを行っていたことに由来しています。

歴史的背景

江戸時代、徳川幕府は政権の安定を図るために武断主義から文治主義へと移行し、朱子学を重視しました。これにより、上下関係の明確化が求められ、学者たちは政策に従って学術研究を行うことが奨励されました。この時期の学者たちは、幕府の意向に従って歴史的事実を解釈し、その結果、御用学者と呼ばれるようになりました。

現代における事例

水俣病問題

現代において代表的な例として、水俣病が挙げられます。1959年、熊本大学の研究班は有機水銀が病気の原因であると発表しましたが、その後、厚生省が同様の答申を出した際に急遽その委員会を解散させました。この出来事は、政府の意向に迎合して学問を歪めるという御用学者の姿勢を象徴しています。

ナイロンザイル事件

また、ナイロンザイル事件では、1955年に登山者がナイロン製クライミングロープによって死亡した問題がありました。大阪大学の教授は、自らの実験結果を覆すような形でメディアに示し、利益を優先した行動が問題視されました。これにより、学術界における信頼が失われ、多くの犠牲者を生む結果となりました。

イラク戦争への対応

さらに、2003年のイラク戦争に関して、政府の意向に応じた意見が多くの学者からあったことも御用学者の典型的な例です。東京大学の山脇教授は、外務省におもねる学者が存在することへの危惧を表明し、批判の声を上げました。

喫煙問題

喫煙問題においては、日本たばこ産業によって研究費を受け取ることで、タバコの健康リスクを軽視するような研究結果が出されたこともありました。学界では、このような不正行為は問題視され、行動宣言が発表されるに至りました。

公共事業・原発問題

公共事業や原子力発電に関しても、数々の学者たちが政府の求めに応じた安全神話を形成し、信頼を損ないました。これらの事例は、御用学者の存在がいかに社会に悪影響を及ぼすかを示しています。

結論

御用学者は、特定の権力者や利益団体によって影響を受け、学問の独立性が損なわれる危険があります。現代におけるこれらの問題は、学術界における倫理基準の重要性を再認識させるものであり、今後の学術研究における透明性と誠実さが求められるでしょう。

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