忠海

広島県竹原市忠海地区：歴史と文化の港町

広島県竹原市の東端、瀬戸内海に面した忠海地区。古くから栄えた港町として、歴史と自然が織りなす魅力あふれる地域です。この記事では、忠海の地理、歴史、文化、交通について詳細に解説します。

1. 地理

忠海地区は、竹原市中心部と三原市中心部のほぼ中間に位置し、穏やかな瀬戸内海の風景が広がります。南には大久野島、小久野島が浮かび、さらに南は愛媛県今治市との県境である大三島へと続きます。特に忠海長浜の海岸線は、その絶景から日本百景にも選ばれ、映画『エデンの海』のロケ地にもなりました。地区内には、忠海東町、忠海中町、忠海床浦、忠海長浜など、複数の町丁が存在します。大久野島の一部にも「忠海町」という地名が残っています。

2. 歴史

中世以前

忠海の沖合ではナウマンゾウの臼歯、周辺では弥生時代の土器片が出土しており、古くから人が生活していた痕跡が見られます。平安時代には「乃美の浦」と呼ばれていましたが、大治4年（1129年）、平忠盛が山陽道・南海道の海賊追討使としてこの地を平定し、「忠海」と名付けられました。これは忠盛が自身の名前を分け、北側の浦を「忠海」、南の大三島の地を「盛」（盛漁港）と命名したことに由来します。鎌倉時代には小早川氏の所領、その後浦氏の所領となり、室町時代には港として機能していたことが、年貢の積出港として利用された記録などから分かっています。当時、和船は漕ぎ中心であったため山陽沿岸に”地乗り”航路が整備され、のちに一枚帆で追い風をはらんで更に潮の流れを利用して航行する和船が登場すると暴風雨を避け順風を待つ”風待ち”港や上げ潮や下げ潮を待つ”潮待ち”港が整備された。忠海も代表的な地乗りの風待ち潮待ち港となっていった。室町時代末期から戦国時代にかけては、浦氏が小早川水軍の中核を担い、浦宗勝（乃美宗勝）が賀儀城を築き拠点としました。

近世

江戸時代には広島藩領となり、寛永9年（1632年）には三次藩の飛地として、年貢米や物産の積出港としての役割を担いました。初代藩主浅野長治による大規模な港湾整備が行われ、交易港として発展。寛文12年（1672年）の西廻海運の確立により、北前船などの廻船が頻繁に寄港するようになり、交易は全国規模に広がりました。北は松前、南は薩摩と幅広い交易圏を形成し、特に伊予、豊後との交易が盛んでした。しかし、時代が下ると操船技術の向上により地乗り航路から瀬戸内海中央部を航行する”沖乗り”航路が主流となっていき、地乗りの港は次第に停滞していったことがわかっている。朝鮮通信使が停泊した記録も残っており、明和元年（1764年）には竹原の頼杏坪が通信使一行に能筆を披露したという逸話も伝わっています。

近代以降

廃藩置県後は広島県豊田郡忠海村となり、明治時代には郡役所が置かれました。明治22年（1889年）には忠海町が発足。その後、大日本帝国陸軍の機関が配置され、沖合の大久野島には芸予要塞の施設が建設されました。太平洋戦争中は毒ガス工場も設置されましたが、空襲を受けずに残っており、その一部は2018年の西日本豪雨で被害を受けました。昭和33年（1958年）には竹原町と合併して竹原市となり、昭和42年（1967年）には竹原火力発電所が建設されました。現在もアヲハタの本社とジャム工場が忠海にあります。

3. 文化

忠海には、忠海八幡神社社叢（国天然記念物）、忠海のウバメガシ樹叢、楠神社のクスノキ（県天然記念物）など、多くの文化財が残されています。また、祇園祭みこし行事（県無形民俗文化財）、二窓の神明祭（400年以上続く火祭）など、伝統的な祭りも盛んです。映画『エデンの海』（1950年）、アニメ映画『花田少年史 幽霊と秘密のトンネル』（2006年）のロケ地にもなりました。

4. 交通

忠海地区には、忠海港、JR呉線の忠海駅、安芸長浜駅があります。

結論

忠海地区は、歴史と自然、そして文化が調和した魅力的な地域です。豊かな歴史的遺産と美しい自然景観は、多くの観光客を魅了し続けています。

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