新撰和歌

新撰和歌

『新撰和歌』は、平安時代に編纂された私撰和歌集であり、著者は紀貫之です。この和歌集は、全四巻から構成されており、いわゆる「新撰和歌集」とも呼ばれています。

構成と内容

当書は、合計360首の和歌を収めており、以下のように巻ごとにテーマが分けられています。巻第一には春と秋の和歌が各120首ずつ、巻第二には夏と冬の40首が、それぞれ収められています。また、巻第三には賀や哀しみの歌が20首、別れや旅行に関連した歌が20首あり、そして巻第四には恋の和歌と雑多な詩が160首含まれています。このように、各巻はそれぞれのテーマに応じた短歌を交互に並べる形式をとっています。特筆すべきは、和歌には作者名や詞書が一切含まれておらず、既存の伝本にはまれに作成者名が添えられることもありますが、これは本書の本来の姿ではありません。

編纂の背景

この和歌集の序文は漢文で書かれており、その内容によれば、編纂は『古今和歌集』が撰進された後、藤原兼輔の手により天皇の勅命を受けて開始されたとされています。券は、最終的には土佐国に赴任している間に完成し、帰京後に獻上するつもりだったようですが、残念ながら中途で醍醐天皇が崩御し、兼輔自身も亡くなったため、この計画は実現しなくなりました。しかし、紀貫之はこの貴重な和歌集が失われることを悲しみ、序を添えて公にすることを決意しました。なお、この『新撰和歌』は、『古今和歌集』から弘仁から延長年間までの秀歌360首を選び出したとされていますが、実際にはそれ以外の和歌も採用されています。

紀貫之と和歌の重要性

紀貫之は、平安時代中期の有名な詩人であり、彼の作品は日本の文学に多大なる影響を与えました。『新撰和歌』は、彼の最晩年の編集作業によるもので、彼自身の感情や自然への観察が詠まれた作品でもあります。そのため、現代においても多くの読者に親しまれています。本書は日本の和歌の歴史を知る上で欠かせない資料であり、和歌の多様性や表現の美しさを学ぶための重要な手掛かりとなるでしょう。

参考文献

• - 新編国歌大観編集委員会編　『新編国歌大観』（第2巻）　角川書店、1984年

関連項目

• - 紀貫之
• - 古今和歌集

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