旅行業務取扱管理者

旅行業務取扱管理者について

旅行業務取扱管理者とは、旅行業法に基づき、旅行業者およびその代理業者が顧客と行う旅行関連取引の責任を担う役職です。資格者は、国家試験である旅行業務取扱管理者試験に合格した者であり、この役職は旅行業界における重要な鍵を握ります。2005年以前は「旅行業務取扱主任者」と呼ばれていましたが、その名称は改正に伴い変更されたものです。

選任の義務

旅行業法第1条において、営業所ごとに旅行業務取扱管理者を1名以上選任することが義務付けられています。この選任は「旅行業務に関する取引公正の維持」「旅行者の安全確保」「旅行者の利便性向上」を目的としています。選任された氏名は観光庁や都道府県に提出し、旅行業登録票にも明記しなければならず、さらにパッケージツアーのパンフレットにも記載する必要があります。この義務により、旅行業務取扱管理者は旅行者の信頼を確保し、業界の健全性を向上させる役割を果たしています。

旅行業務取扱管理者には、国内旅行業務取扱管理者、総合旅行業務取扱管理者、地域限定旅行業務取扱管理者の3種類があり、それぞれの資格が求められる業務範囲が異なります。選任には各営業所が取り扱う旅行の種類に応じた資格を有する者を任命しなくてはなりません。また、一人の管理者が複数の営業所を兼任する場合は、地域限定旅行業者に限定されることがあります。

職務内容

旅行業務取扱管理者の業務は多岐にわたります。業務の一部には、旅行者に対して取引条件を説明すること、適切な書面を交付すること、苦情の処理などがあります。また、業務に関する必要書類を保管し、適正な広告の実施や料金の掲示を行うことも求められます。最も重要な任務は、旅行者からの明確な説明が求められた際には、必ず旅行業務取扱管理者が責任を持って説明することです。

試験の実施

旅行業務取扱管理者になるには、各種試験に合格する必要があります。試験は年に一度実施され、試験内容には旅行業法令、国内旅行実務、海外旅行実務が含まれています。受験者は、受験料を支払い、各科目で決められた合格点以上を取得する必要があります。また、試験形態も年々変更されており、今後はCBT（コンピュータベースの試験）が導入される予定があります。

試験の受験資格は特に制限がなく、誰でも受験可能ですが、重複受験や不合格の場合には、次回の試験で特定の科目が免除されることもあります。特に、国内旅行業務取扱管理者試験では観光地理に関する問題が難しく、多くの受験生が苦労しているとされています。

研修と資格更新

旅行業務取扱管理者には、定期的に研修を受けることが義務づけられています。この研修は、旅行業者が良質な業務を行うために必要な知識と能力の向上を目的としており、受講しない場合は更新登録が認められません。研修の修了後は、業務に関連する科目が免除される仕組みとなっています。

まとめ

旅行業務取扱管理者は、旅行業界において欠かせない存在であり、その役割は取引の公正性と安全性を確保するため、極めて重要です。資格取得や更新、研修を通じて常に最新の情報を把握し、旅行者に信頼されるように努めることが求められています。

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