日本SF大賞

日本SF大賞

日本SF大賞は、1980年に設立された日本SF作家クラブが主催する、商業作品に焦点を当てた賞です。この賞は、毎年発表されたさまざまなSF作品の中から優れた作品を表彰することを目的としています。選考の方式は特異で、出版物や映像作品、さらには実際に起こった出来事や製品など広範なジャンルから受賞作を選出しています。

受賞対象

本賞は、特に「SFとして優れた作品」に焦点を当てており、これにより新たな視点を加えることができる作品を高く評価します。これまでには漫画や映画、さらにはノンフィクションの記事に至るまで、さまざまなメディアで表現されたSFが受賞しています。これほど多様な媒体から選ばれる受賞は、日本のSF界において他に類を見ない特徴です。たとえば、はやぶさ探査機の帰還や、二足歩行ロボットのASIMOといった技術革新も評価の対象となっています。

選考プロセス

日本SF大賞の選考は、特定の年（9月1日から翌年の8月31日まで）に発表された作品を対象とし、日本SF作家クラブの総会で選ばれた選考委員による討議を経ることで決定されます。過去の選考手順では、まずアンケートを介して候補作が提示され、最終的に選考委員によって受賞作が決定していました。2014年からは、一般の読者やファンからのエントリーを受け付け、その中からクラブ会員の投票で候補が選定される方法に変わりました。

受賞者と副賞

受賞者には、日本SF作家クラブ発行のトロフィーと、協賛企業からの副賞が贈呈されます。初期の段階では賞金も設定されていましたが、時代とともに変遷しとともに副賞の内容も変わることがありました。受賞者が日本SF作家クラブに未入会の場合、希望すれば特別に入会の手続きが簡略化されることも特徴の一つです。

歴史と評価

本賞成立当初は、SFファンの投票で決まる他のSF賞と異なり、プロの作家による票決で受賞作が選ばれるため、大きな意義を持っていました。これによりプロフェッショナルな視点からの評価が反映され、多くの傑出した作品が認知されるきっかけになりました。ただし一部には、特定の歴史的背景を持つ作家の作品が再評価されにくいという批判もあります。

特別賞と功績賞

特別賞は評論作品や故人の業績に贈られることが多く、2011年度には初の特別功労賞が作家小松左京に与えられました。また、2015年度からは、一般の作家だけでなくSF界全体に貢献した故人にも功績賞が授与されるようになり、SF文化の拡充にも寄与しています。

このように日本SF大賞は、単なる文学賞に留まらず、日本のSF文化の発展に寄与する重要な役割を果たしています。

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