日田祇園祭

日田祇園祭について

日田祇園祭（ひたぎおんまつり）は、大分県日田市で開催される、曳山行事を含む重要な厄除けの神事です。この祭りは、京都府の祇園祭を手本にしており、地域の各神社で行われます。主な神社は、豆田地区の豆田八阪神社、隈地区の隈八坂神社、竹田地区の竹田若八幡宮（若宮神社）です。

この祭りは、山鉾の建造が始まる「小屋入り」から、参加者の慰労会である「薮入り」まで、約20日間にわたって開催されます。特に、曳山行事は毎年7月20日過ぎの土曜日と日曜日に行われます。この期間中には、豆田地区から4基、隈・竹田地区から4基、合わせて計8基の山鉾、さらに八坂神社からの平成山鉾の合計9基が巡行します。また、旧上横町の山鉾も含めると、合計10基が現存しており、日田祇園山鉾会館ではそのうちの6基が常時展示されているのです。

歴史

日田祇園祭の起源は、約400年前に遡ります。当時、日隈城内にあった八坂神社は、日隈城の廃城に伴い、現在の隈や寺町付近に移転されました。以降、この神社で厄除けの神事が行われるようになりました。寛文年間（1660年 - 1672年）には、杉の葉や幕で飾られた曳山が存在し、太鼓の音に合わせて巡行が行われていたと記録されています。

江戸時代中期の1714年には、京都の祇園山を模した本格的な山鉾が造られるようになり、1972年には「隈の祇園会」として日田市の無形文化財に指定されるなど、伝統が受け継がれています。さらに、1984年には「日田祇園会」として大分県の無形民俗文化財に、そして1996年には「日田祇園の曳山行事」として国の重要無形民俗文化財に指定されました。2016年にはユネスコの無形文化遺産にも登録されています。

祭事の主な日程

祭りの準備のひとつとして、「神輿洗い」があります。これは、町内に存在する疫をもたらす神を中心に、川で禊をする神事です。さらに、巡行の安全を確認するための「流れ曳き」が行われ、これが本番に向けた重要なステップとなります。

この祭りの曳山行事は、かつては古い暦に基づいて行われていましたが、現在では7月20日を過ぎる土曜日と日曜日に統一されています。

囃子（はやし）

祭りの中核をなす囃子は、文化年間に小山徳太郎が長崎で学んだ明笛を元に、日田の祇園囃子を確立したとされています。篠笛が主旋律を奏で、太鼓や三味線が加わり、江戸中期から明治・大正時代にかけて作られた楽曲が演奏されます。特殊な竹を使用した明笛は、独特な音質を持っています。

山鉾の形体と飾り

日田の山鉾は、特有の構造を持ち、祭りの中で際立った美しさを誇ります。飾りは歌舞伎の演目に触発され製作され、立体的に配置された装飾品や人形が特徴です。このような飾りは祭りの色彩を引き立て、観客や参加者に強い印象を与えます。

日田祇園祭は、地域の伝統や文化が息づく重要なイベントであり、毎年多くの観客を魅了しています。祭りは、地域の連帯感や誇りを育む場でもあります。

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