時空異邦人KYOKO

時空異邦人KYOKO（タイムストレンジャーキョーコ）

種村有菜氏が描いたファンタジー少女漫画作品です。

概要

本作は、集英社の月刊少女漫画雑誌『りぼん』にて、2000年9月号から2001年9月号にかけて連載されました。全13話で構成され、単行本は全3巻が刊行されています。作者にとって前作『神風怪盗ジャンヌ』の連載終了からわずか2ヶ月後にスタートしたこの作品は、作者が中学生の頃から構想を温めていたものであり、当時のアイデアやキャラクターイメージが反映されています。しかし、連載期間を巡る様々な事情から、作者が意図した通りの展開を描ききることが難しくなり、連載の早期終了という決断がなされました。このため、物語の終盤に登場する重要な役割を担う6名の異邦人については、本来予定されていた個々の能力や背景に関する描写が大幅に削られる形となりました。

あらすじ

物語の舞台は、技術が進んだ30世紀の地球国。主人公は、この国の第一王女である朱臣響古（すおみ きょうこ）です。彼女には、16年間ずっと深い眠りについている双子の妹、憂（うい）がいます。妹を目覚めさせる唯一の方法は、伝説に語られる12人の「異邦人（ストレンジャー）」を見つけ出すこと。響古は、自身のボディーガードである神逆滝（じん さかたき）と神氷月（じん ひづき）と共に、異邦人探しの旅に出ることになります。

旅の途中で、響古自身が時を操る「時空異邦人」であり、逆滝が水晶を操る「水晶異邦人」であることが明らかになります。異邦人の探索が進む中で、残りの10人のうち9人がそれぞれの種族の族長であることが判明していきます。そして、物語が佳境に入るにつれて、響古の秘められた真実や、眠る妹を目覚めさせるための儀式が始まる時、彼女自身の正体が意外な形で示されることになります。

登場人物

物語の中心となる主要人物や、妹を目覚めさせる鍵となる異邦人たち、そして彼らを取り巻く人々が描かれます。

朱臣響古（すおみ きょうこ） / 時空異邦人
物語の主人公で地球国の王女。明るく行動的ですが、少しぐうたらな一面も。時を操る能力を持ち、実は時の神クロノスの娘という秘密を抱えています。妹・憂に身体を貸していましたが、後に別の身体を得て地上へ戻ります。過去作品のキャラクターとの関連性も示唆されています。

神逆滝（じん さかたき） / 水晶異邦人
響古のボディーガードを務める竜族の青年。真面目で正義感が強く、響古と氷月のツッコミ役です。水晶を操る異邦人であり、響古の記憶が失われた際も、彼女を最も早く思い出した存在です。

* 神氷月（じん ひづき） / 魔氷異邦人
逆滝の義兄で、響古のもう一人のボディーガード。学校では響古のクラス担任でもあります。飄々としていますが、魔族としての冷酷な一面も持ち合わせており、響古に特別な感情を抱いています。氷を操る異邦人です。

異邦人は上記の3名のほか、桃人華蓮（桃華異邦人）、黄西砂来（雷鳴異邦人）、蒼波水乃（流水異邦人）、茶碧葉樹（木葉異邦人）、茅緑風麻（疾風異邦人）、煌紫鳥羽（飛鳥異邦人）、焔燐（火炎異邦人）、白季刹那（白雪異邦人）、麗黒夜深（暗闇異邦人）が登場します。特に葉樹、風麻、鳥羽、燐、刹那、夜深の6名は、連載終盤に登場したため、詳しい背景や能力描写が十分に描かれなかったことが作者によって明かされています。

その他、響古の父である時の神クロノス（杖ちょん）、響古の妹・朱臣憂、地球王、ネコ型アンドロイドのちょこら、盗賊団「木端微塵☆」のリーダー・ウィドシークとその兄・蒼波銀牙など、個性豊かなキャラクターたちが物語を彩ります。

アニメ

本作は、2001年に短編アニメ化されています。『りぼん』の応募者全員サービスとして制作されたオリジナルアニメビデオ『時空異邦人KYOKO ちょこらにおまかせ!』に収録され、ちょこらをフィーチャーしたコミカルなストーリーが展開されました。このアニメでは、主要キャラクターに声優が起用されています。

その他

本作は、同じ作者による他の作品との繋がりが示唆される描写が複数見られます。特定のアイテムや絵本が別の作品に登場したり、キャラクターの前世について言及されたりしています。また、『アニマル横町』とのコラボレーション短編も描かれました。海外、特にドイツでも高い人気を博し、単行本が漫画売り上げランキングの上位にランクインするなど、国境を越えて多くの読者に愛されました。

早期に連載が終了したことで、物語の全貌が描ききれなかった側面はありますが、魅力的なキャラクターと種村有菜氏独特の華やかな絵柄、そしてSFファンタジーの要素が融合した本作は、今なお多くのファンの記憶に残る作品です。

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