智徳法師

智徳法師

智徳法師（ちとくほうし）は、平安時代中期、一条天皇の時代に名を馳せた陰陽師です。

今昔物語における活躍

『今昔物語』には、智徳法師が播磨国（現在の兵庫県）明石沖で海賊に襲われた船主を助ける話が収録されています。彼は陰陽道の秘術を駆使し、見事に海賊を捕縛。奪われた荷物を取り返すという鮮やかな手腕を披露しました。この逸話は、智徳法師が単なる陰陽師ではなく、困窮する人々を救済する力を持った人物として描かれています。

安倍晴明との術比べ

智徳法師は、当時すでに名声を得ていた陰陽師・安倍晴明に術比べを挑んだことでも知られています。しかし、この勝負において、智徳法師は安倍晴明に全く歯が立ちませんでした。安倍晴明は、智徳法師の式神たちをいとも容易く隠してしまい、智徳法師を懲らしめたと伝えられています。智徳法師は自身の未熟さを悟り、安倍晴明に謝罪。隠された式神を返してもらった後、「私には式神を使うことはできても、人の使うものを隠すことは到底できない」と述べ、安倍晴明に弟子入りを志願したとされています。このエピソードは、智徳法師の謙虚な人となりと、安倍晴明の圧倒的な実力を際立たせるものとして広く知られています。

蘆屋道満との関連性

智徳法師の人物像や、彼を取り巻く環境設定が、同じく平安時代の陰陽師である蘆屋道満（あしやどうまん）と酷似していることから、両者は同一人物ではないかという説が有力視されています。蘆屋道満は、安倍晴明のライバルとして知られる人物であり、様々な伝説や逸話が残されています。智徳法師と蘆屋道満が同一人物である場合、安倍晴明との術比べのエピソードは、よりドラマチックな意味合いを帯びることになります。

後世の作品への影響

智徳法師は、後世の様々な作品にも登場しています。例えば、Keyのアダルトゲームを原作とするメディアミックス作品『AIR』のSUMMER編では、主人公たちを保護し、方術を教える人物として描かれています。このように、智徳法師は陰陽師という枠を超え、物語の登場人物としても魅力的な存在として描かれています。

関連項目

陰陽道
安倍晴明
* 蘆屋道満

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