暴れん坊天狗

暴れん坊天狗

『暴れん坊天狗』は、1990年にメルダックから発売されたファミリーコンピュータ用ソフトです。開発はライブプランニングが担当しました。2021年にはシティコネクションから、日本版と海外版をセットにした移植版『暴れん坊天狗 & ZOMBIE NATION』がSteam、Nintendo Switch向けにリリースされています。

概要

本作は、一風変わった世界観と、建物などを破壊する爽快感が特徴の横スクロールシューティングゲームです。プレイヤーは天狗の面を操作し、「邪悪な生命体の攻撃によって滅亡の危機に瀕したアメリカ合衆国を救う」という奇抜なストーリーが展開されます。自由の女神やマッチョ老人、移動する原子力発電所など、個性的な敵キャラクターも魅力です。

ディレクター兼サウンドコンポーザーは、『源平討魔伝』にも携わった中潟憲雄が担当しました。当初のタイトル候補は「キング・デング・ポンチ」でしたが、最終的に社長の一存で『暴れん坊天狗』に決定したというエピソードがあります。

しかしそのゲームシステムは独特で、操作に慣性があったり、一度に一発しか弾を撃てなかったり、敵や弾のサイズが大きく避けにくかったり、即死級のトラップが隠されていたりと、難易度は非常に高くなっています。発売当初は話題になりませんでしたが、後に「変なゲーム」として紹介され、カルト的な人気を獲得。バカゲー・クソゲーとして紹介されることで、知名度を高めていきました。

ゲーム内容

システム

十字ボタンで天狗の面を操作します。ボタンを押し続けると加速するため、独特の操作感があります。Bボタンでショットを発射し、対空・対地の同時攻撃が可能です。Aボタンは、パワーアップ máxima時に敵全体を攻撃するボムとして使用します。

コンティニュー回数は初期状態で6回。ラウンドクリアごとに1回増え、最大9回までです。

パワーアップ・ライフ

パワーアップとライフ回復は独立したシステムです。

パワーアップ

パワーアップアイテムは「HELP」と叫びながら落下してくる人間です。5人ごとにショットが強化され、最大で3連射になります。15人集めると、全体攻撃アイテムが補給されます。

ライフゲージ

画面左下に表示される8つの天狗の顔がライフを表します。敵の攻撃力は不明瞭で、正確な耐久力は不明です。スコア10000点ごとにライフが回復します。

基本的に1〜2発の敵弾ではライフは減りませんが、特定のトラップに触れるとライフが大幅に減少します。ボス戦ではライフゲージが表示されません。

移植版『暴れん坊天狗 & ZOMBIE NATION』

『暴れん坊天狗 & ZOMBIE NATION』には、オリジナル版の『暴れん坊天狗』と海外版の『Zombie Nation』が収録されています。

各バージョンには、初心者向けの「ぺ天狗モード」「ゾンビモード」と、従来の「エキサイテングモード」「サムライモード」が用意されています。実績やギャラリーモードも実装されています。

ストーリー

暴れん坊天狗

199X年、アメリカに正体不明の惑星が接近。それは邪悪な生命体となり、アメリカを覆い尽くそうとしていました。人々の祈りが大和の国の天狗に届き、天狗の面がアメリカへと向かいます。

Zombie Nation

1999年、ネバダ州に隕石が落下。その正体はエイリアンであり、国民をゾンビ化させ、兵器を操っていました。侍の大将・ナマクビは、修羅を取り戻すべく渡米します。

ステージ構成

ラウンド1〜4はどこからでも開始できます。ラウンド4クリア後はラウンド1に戻り、全てのラウンドをクリアするとラウンド5（最終面）に進みます。

開発

企画は大久保高嶺によるもので、平将門の首塚から飛び出した落ち武者の生首がアメリカに復讐するという設定が元になっています。しかし、当時の任天堂から許可が下りず、天狗の面が主人公となりました。

中潟憲雄は、この企画が実現したのは社長が気に入っていたからだと語っています。また、発売後の反響は大きくなかったものの、後にカルト的な人気を獲得したことについて、「5、6年経ってから、急にクローズアップされたんじゃないかな」と述べています。

音楽

本作では、ファミリーコンピュータの拡張音源であるPCM音源を全面的に使用しています。

2013年には、サウンドトラック『暴れん坊天狗音楽集-Rom Cassette Disc In MELDAC-』が発売されました。2021年には、楽曲を生演奏するイベントも開催されています。

評価

ゲーム雑誌では、「クレイジーな感覚」「殺伐として世紀末を感じさせる」などと評されています。その奇抜な設定と高い難易度から、カルト的な人気を集めた異色の作品です。

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