天狗

天狗（てんぐ）

天狗は日本の伝説に登場する著名な存在であり、神や妖怪として知られています。一般的な姿は、赤ら顔で高い鼻を持ち、山伏の装束をまとい、翼を有して空を飛ぶことができるとされます。天狗は、しばしば人を魔道に導く存在として描かれ、外法様とも呼ばれることがあります。

起源と由来

天狗という名称は、中国の古文献に由来があります。元々は流星を表す言葉で、天から災いを運ぶ存在として恐れられていました。このことが、日本における天狗の神話の発展に繋がりました。日本における初出は『日本書紀』にあり、当時の人々は天狗を流星の一種として認識したことが記録されています。この天狗の概念は、時代を経て変容し、ついには飛翔する妖怪として知られるようになりました。

日本における天狗の発展

日本の奈良時代には、役小角により山岳信仰が広まり、天狗はその象徴として扱われるようになりました。山地を異界として恐れた人々は、天狗を山の神として崇めました。この背景から、鼻が高く、赤い顔を持つ天狗の姿が広まりました。平安時代には、文学作品において天狗の物語が増え、騒動の主役として人々の興味を引きました。

また、平安から鎌倉時代には、天狗は優れた身体能力を持つ存在としても描かれ、様々な伝説が語られるようになりました。特に『今昔物語集』や『平家物語』では、見た目や性質にバリエーションを持たせた天狗が登場し、その一部は戦いの場面で描写されています。

天狗の特性と習俗

天狗は、一般的に高い鼻や赤ら顔、羽団扇を持ち、空中を自在に飛ぶ存在として描かれます。これに加え、鼻の形にはいくつかの種類があり、「鼻高天狗」や「烏天狗」といった呼び名で知られる天狗も存在します。これらの形態は地域によって異なり、例えば紀州の白衣の天狗や、長野で信じられている火まだらをはぎ取る天狗といった個性的な伝承もあります。

天狗と神格化

天狗は、地域によっては神として尊ばれることもあります。富士山の太郎坊や、英彦山の豊前坊など、名付けられた天狗の神が存在します。また、韓国では、天狗が山神と深く結びついていることも多く、霊峰とされる山々には必ず天狗が住むとされる信仰が広がっています。こうした山岳信仰は、古代から続く民間信仰に基づいており、豊かな天狗の伝説が各地に残っています。

天狗と猿田彦

天狗は、古代の神話に登場する神、猿田彦とも密接に関係しています。彼は案内役として描かれ、長い鼻を持つ姿が天狗のイメージと重なることが多く、祭りの際には天狗の面を被ることが一般的です。

まとめ

天狗は、日本の文化や信仰において非常にユニークな存在です。彼らはしばしば悪戯好きで、様々な形で騒動を起こすキャラクターとして描かれ、同時に神聖視される存在でもあります。このように、天狗は日本の妖怪や神々の中でも特に多面的な性格を持っています。

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