曽田博久

曽田博久：特撮から時代劇、小説まで縦横無尽に活躍する脚本家

曽田博久氏は、1947年島根県生まれの脚本家、小説家です。横浜国立大学工学部中退後、シナリオライターとしてキャリアをスタートさせました。当初は新左翼活動家として活動していましたが、内ゲバの激化に嫌気が差し、進路に迷っていた時に偶然手にしたシナリオ誌がきっかけで、この道へ進むことを決意しました。

スーパー戦隊シリーズへの多大な貢献

曽田氏のキャリアの中で最も有名なのは、スーパー戦隊シリーズへの貢献でしょう。1975年の『秘密戦隊ゴレンジャー』から携わり、17作品に参加、うち9作品でメインライターを務めました。シリーズ最多となる399本の脚本を手掛けた実績は、彼のスーパー戦隊シリーズにおける比類なき貢献を示しています。

1982年の『大戦隊ゴーグルファイブ』から9年間、メインライターとして活躍。鈴木武幸プロデューサーとのタッグで、シリーズに数々の新路線を導入し、ドラマ面を強化することで作品を支えました。その功績は、戦隊シリーズの歴史に大きな足跡を残しています。

多様なジャンルでの執筆活動

スーパー戦隊シリーズ以外にも、曽田氏は時代劇『暴れん坊将軍』、Vシネマ、そして長寿アニメ『サザエさん』など、幅広いジャンルの作品を手掛けてきました。さらに、メタルヒーローシリーズにも参加するなど、特撮作品への情熱は尽きることがありませんでした。

1997年には、ゲーム会社フラグシップの設立にも関わり、取締役を務めながら多くのゲームシナリオも執筆しました。2005年には小説家デビューも果たし、時代小説を中心に精力的に作品を発表し続けています。近年はAmazon Kindleで長編小説を次々と発表しており、創作意欲は衰えることを知りません。

作風と創作への姿勢

曽田氏の作風は、学生運動での経験や独特の視点が色濃く反映されています。人を素直に見ない、否定的に見てしまうという自身の特性は、作品に独特の深みを与えています。しかし、その一方で、「どんなに考えが違っていても、認めなくてはいけない」という信念を持ち、作品に反映させています。

特撮作品への抵抗感や、当初のシナリオライターとしての迷い、そして宮本輝原作の映画『泥の河』との出会いが、彼の創作活動に大きな影響を与えたと言われています。自身の作品の中では、「刑事くん」、「花の子ルンルン」、「エルドラドゲート」を特に気に入っているようです。

スーパー戦隊シリーズにおいては、アクション一辺倒にならないよう、子どもたちの心に響くドラマを重視。アクションシーンは苦手としていますが、常に視聴者に感動を与える作品作りを目指していました。初期の試行錯誤を経て、『超電子バイオマン』から独自のスタイルを確立し、『電撃戦隊チェンジマン』では、バランスの良い脚本を書けたと振り返っています。

一方、悲劇的な結末や、自己犠牲をテーマにした展開については、自身も後味悪く感じる部分があったと語っています。また、『バイオマン』以降は、敵側に焦点を当てた展開が増えたのは、主人公にドラマを背負わせるのが好きではなかったからだと述べています。

関係者との交流

多くの関係者との交流も、曽田氏の創作活動に影響を与えてきました。東映の鈴木武幸プロデューサーとは9年間、戦隊シリーズを共に作り上げ、その真面目な姿勢は、曽田氏自身の真面目さと重なり合っていました。また、寺田憲史氏や杉村升氏、吉田伸氏など、多くの脚本家やゲームクリエイターとの交流を通じて、互いに刺激しあい、切磋琢磨してきたことがうかがえます。

豊富なフィルモグラフィ

曽田氏の作品リストは非常に多岐に渡り、特撮、アニメ、実写ドラマ、映画、ゲーム、そして小説と、その活動範囲の広さを物語っています。スーパー戦隊シリーズ、メタルヒーローシリーズをはじめとする特撮作品への数々の貢献、そして時代劇やアニメ、ゲーム、小説と、その活動はジャンルを超えて広がり続けています。

曽田博久氏の作品は、その多様性と深い人間性、そして独自の視点によって彩られています。これからも、彼の創作活動から目が離せません。

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