月光天文台

月光天文台について

月光天文台は、静岡県函南町にある公開天文台です。公益財団法人国際文化交友会によって運営されており、プラネタリウムや化石・鉱物資料館を併設しています。一般向けの観望会も開催しており、地域住民に親しまれています。

歴史

月光天文台の歴史は、1949年に中野與之助が創始した新宗教団体「三五教」（あなないきょう）に遡ります。三五教は「天文即宗教」という教義を持ち、天文学への強い関心を持っていました。

1956年、三五教の関係者は、天文学者である山本一清（元京都帝国大学教授）を訪問。山本は以前から天文学の普及に尽力しており、この出会いをきっかけに三五教の天文事業に深く関わることになりました。

沼津時代の月光天文台

1957年9月21日、三五教は沼津市香貫山に「三五中央天文台」を開設しました。初代台長には山本一清が就任しました。その後、1958年1月には「月光天文台」に改称されています。香貫山の天文台建設は、三五教の教義確立、山本の天文普及活動、沼津市の地域振興という、三者の目的が一致したことによって実現しました。

しかし、天文台の開設に際して、沼津市議会では市が宗教団体に利益供与することについての議論が起こり、紛糾しました。さらに、山本は1958年末ごろに三五教と袂を分かって天文台を去り、間もなく亡くなりました。また、教団の財政問題も生じるなど、様々な困難に見舞われました。

1961年1月28日、三五教は財団法人国際文化交友会（現在の公益財団法人国際文化交友会）を設立し、天文台の運営も同団体に移管されました。

1973年6月、沼津市香貫山にあった天文台は撤去されました。

函南町への移転

1975年3月22日、月光天文台は現在地の函南町に移転し、再スタートを切りました。1976年にはプラネタリウム館、1983年には地学資料館がそれぞれ開設され、1986年には第2観測所（新館）も開館しました。

1987年から2000年にかけて、天文家の大島良明と香川哲男がこの天文台で172個もの小惑星を発見しました。2000年時点での観測地点ごとの小惑星発見数で、月光天文台は世界第40位にランクインしています。

[小惑星] 月光は、この天文台で大島良明によって発見された小惑星で、天文台の名前にちなんで命名されました。また、(4157)伊豆、(13934)函南など、所在地にちなんだ小惑星や、設立母体にちなむ(3843)オイスカ、(5730)與之助などが、この天文台で発見されています。

[国際天文学連合]による天文台コードは888です。

三五教によるその他の天文台

三五教は1950年代後半から1960年代前半にかけて、日本各地に天文台を建設しました。三五教は天文を扱う傘下組織として国際天文協会を1957年に設立し、天文台ネットワークもその下で運営されました。1961年に国際文化交友会が発足すると、天文台の運営も同団体に移管されました。

月光天文台の現在

月光天文台は、現在も観望会やイベントを開催し、天文学の普及活動を行っています。プラネタリウムや資料館も一般公開されており、子供から大人まで楽しめる施設となっています。数々の小惑星を発見した実績を持つこの天文台は、アマチュア天文家にとっても重要な観測拠点となっています。

参考文献

Staff (2000年). “Minor Planet Discovery Sites”. IAU: Minor Planet Center.
Schmadel, Lutz D. (2003). Dictionary of Minor Planet Names. Springer.

もう一度検索