有備館

旧有備館：日本最古の学問所建築

宮城県大崎市に位置する旧有備館は、仙台藩支藩である岩出山伊達氏の学問所として知られる歴史的建造物です。その歴史は、寛永9年（1633年）に遡ります。岩出山城二の丸の仮居館として建てられた建物は、その後、元禄4年（1691年）に伊達敏親によって学問所「春学館」として開校され、のちに現在の名称「有備館」に改称されました。

建物の特徴と歴史

有備館は、茅葺きの書院造りで、日本最古の学問所建築としてその貴重な姿を現在も残しています。正徳5年（1715年）頃には、茶人・清水道竿によって設計された回遊式池泉庭園が造られ、建物と庭園は一体となって、静寂で美しい空間を創り出しています。

建物と庭園は、昭和8年（1933年）に国の史跡および名勝に指定されました。その後、昭和45年（1970年）には伊達家から岩出山町（現・大崎市）に移管され、地域住民の財産となっています。

しかし、平成20年（2008年）の岩手・宮城内陸地震、そして平成23年（2011年）の東北地方太平洋沖地震によって、大きな被害を受けました。主屋は倒壊し、附属屋も損傷を受け、庭園にも地割れや地盤沈下が発生しました。

それでも、関係者や地域住民の努力によって、平成28年（2016年）に災害復旧事業が完了し、一般公開が再開されました。歴史と文化を伝える貴重な空間は、多くの人々にとって、学びと癒やしの場となっています。

アクセスと周辺情報

旧有備館へのアクセスは、JR陸羽東線有備館駅が最寄り駅です。岩出山駅からも徒歩圏内です。自動車の場合は、東北自動車道古川ICから約15分です。

開館時間は午前9時〜午後5時（最終入館午後4時30分）、休館日は月曜日（祝日の場合は翌日）と年末年始です。入館料は大人300円、高校生200円、小中学生150円です。

周辺には、岩出山城址や伊達家霊廟址など、歴史的な史跡が点在しています。また、日本刀の専門美術館である中鉢美術館も近くにあります。有備館周辺を流れる大堰（内川）は、平成18年（2006年）に「疏水百選」に選定されています。

有備館の意義

旧有備館は、単なる史跡ではなく、日本の教育史、そして地域の歴史文化を伝える貴重な場所です。江戸時代の学問所として、多くの若者が学び、成長していった歴史を今に伝えています。その建物と庭園は、未来への歴史の継承と、地域の活性化に大きく貢献しています。訪れる人々にとって、歴史と自然に触れ合える貴重な体験を提供しています。その存在は、日本の歴史と文化を理解する上で、欠かせないものとなっています。

参考文献

大崎市公式ホームページ、宮城県教育庁文化財課、文化庁国指定文化財データベースなど。

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