木内鶴彦

木内鶴彦：彗星ハンター、発明家、そして臨死体験者

長野県出身の木内鶴彦氏は、日本のアマチュア天文家として世界的に知られています。幼少期に池谷・関彗星を目撃したことがきっかけで天文にのめり込み、学生時代から天体観測に打ち込んできました。

その後、航空自衛隊で運航管理者として勤務していた22歳の時、上腸間膜動脈性十二指腸閉塞という珍しい病気を患い、一度は死亡宣告を受けます。しかし30分後に奇跡的に蘇生。この臨死体験は、医師のカルテにも記録された国内唯一の事例として知られています。

この経験は、木内氏の人生観を大きく変えました。「宇宙とは何か」「自分とは何か」という根源的な問いと向き合うようになり、それが彗星捜索への情熱をさらに燃え上がらせる原動力となったのです。

彗星発見と独自の観測スタイル

航空自衛隊を退官後、木内氏は本格的に彗星捜索を開始します。当時、コンピュータによる軌道計算や写真乾板を用いた探査が主流でしたが、木内氏は電卓と大型双眼鏡というシンプルな道具のみを用いて観測を行いました。八ヶ岳の山中で大型双眼鏡を担ぎ上げ、夜空を見つめ続ける日々を送っていたといいます。

その独自の観測スタイルで、木内氏はチェルニス・木内・中村彗星、土屋・木内彗星、そして行方不明になっていたスウィフト・タットル彗星など複数の彗星を発見。世界中から注目を集めることとなりました。

発明家としての顔：太陽光を利用した炭素化炉システム

木内氏の活動は天体観測にとどまりません。彼は環境問題にも関心を抱き、太陽光を利用した革新的な炭素化炉システムを発明。このシステムは、巨大な反射鏡で集光した太陽光を真空容器内の廃棄物に照射することで、廃棄物を炭素、水素、ナフサなどに分解するものです。

ダイオキシンや化学兵器、さらには核廃棄物まで処理できる可能性があり、燃料費が不要で環境への負荷も少ない画期的な技術として注目されています。2008年には特許を取得し、実用化に向けた取り組みを進めています。

臨死体験と独自の思想

木内氏は、臨死体験において、月の起源や太古の水の性質に関する独自の仮説を得たと主張しています。彼は、月が約1万5000年前に地球に水をもたらした彗星だったという説を唱え、その太古の水を再現する方法を開発。現在も「太古の水」を販売しています。ただし、これらの主張については科学的な裏付けは提示されていません。

多彩な活動

近年では、全国各地で講演会や観望会を行い、天文や環境問題に関する啓蒙活動に力を入れています。特に、光害による自然環境破壊への警鐘を鳴らし続けています。

木内鶴彦氏は、彗星ハンターとしての功績、発明家としての創造性、そして臨死体験から得た独自の思想を持つ、稀有な存在です。彼の活動は、科学、環境問題、そして人間の存在意義について、私たちに多くの問いを投げかけています。

年表

1990年：チェルニス・木内・中村彗星、土屋・木内彗星を発見
1991年：メトカーフ・ブリューイントン彗星を発見
1992年：スウィフト・タットル彗星を再発見
1993年：小惑星(5481)が「木内」と命名される
2004年：北八ヶ岳第一天文台を開設
2008年：太陽光を利用した炭素化炉システムの特許取得
* 2010年：「東久邇宮文化褒賞」受賞

著書

木内氏は、自身の経験や研究成果を多数の著書にまとめています。それらは、臨死体験、宇宙、環境問題など多様なテーマを扱っており、彼の独特の視点と思想に触れることができます。

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