本田豊

本田 豊（ほんだ ゆたか）について

本田豊は1952年5月生まれの部落史家で、主に日本の部落問題や被差別社会の歴史に重点を置いて研究を行っています。埼玉県児玉郡児玉町、現在の本庄市で生まれた彼は、1975年に埼玉大学を中退後、1978年から1989年まで埼玉県史編纂委員として多くの歴史資料に触れ、その後東京都立大学人文学部で非常勤講師を務めました。

被差別部落を巡る研究

本田はこれまでの30年以上にわたり、日本全国の4000箇所以上の被差別部落を訪問し、実地調査を行っています。彼の研究は、ただ文献を基にしたものではなく、実際に現地を訪れることで、地域ごとの特性や歴史的な背景を深く理解することを目指しています。また、彼は藤田晴央らとともに、被差別部落の研究に長年従事しており、その知見をもとに数多くの著書を発表しています。

本田の研究において特筆すべき点は、北海道や沖縄における被差別部落に関する独自の視点です。其中、北海道では道外から移住してきた被差別部落の存在、沖縄においては遊芸民「チャンダラー」の存在を言及していますが、これらは学界や同和団体からの支持は得られていない部分でもあります。

学問的立場と影響

彼は「部落問題の柳田國男をめざす」と述べており、その言葉の通り、民俗学的視点から部落の歴史と現実を探求しています。柳田國男が日本の民俗を広く研究したのと同様に、本田も日本の被差別部落という特異な社会を理解しようとしています。彼の研究は、単に歴史を遡るだけでなく、現代社会における差別の問題を解決するための方法を模索する試みでもあります。

著書リスト

本田豊は多くの著書を残し、その内容は被差別部落についての理解を深めるものばかりです。代表的な作品には、1982年に発表された『群馬県部落解放運動60年史』や、1989年の『白山神社と被差別部落』があります。また、『江戸の非人─部落史研究の課題』などもあり、著作は多岐にわたります。彼の研究は地域の多様性を扱い、被差別部落の形成やその伝承についても触れています。

近年は、部落の歴史に関する具体的な文献も増え、彼の取り組みは後続の研究者にも多くの影響を与えています。彼の著作は、歴史的な観点から現在の社会問題を考える手助けとなる一方、被差別部落をめぐる議論を活発化させる役割も果たしています。

本田豊の研究は、単に過去を振り返るだけでなく、現在の社会に何が残されているのか、また未来に向けてどのように理解を深めていくのかといった重要な問いを投げかけています。

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