本願寺西山別院

本願寺西山別院（ほんがんじにしやまべついん）は、京都府京都市西京区に位置する、浄土真宗本願寺派に直属する寺院です。寺務は別院輪番が主管していますが、住職は浄土真宗本願寺派の門主が兼任しています。

この寺院の起源は古く、平安時代に遡ります。桓武天皇の発願を受けた伝教大師最澄が、現在の京都西山の地に久遠寺という寺院を創建したのが始まりと伝えられています。しかし、時を経て久遠寺は荒廃し、その姿は失われてしまいました。長らく荒地となっていたこの地が再び信仰の場として息を吹き返したのは、鎌倉時代の正和3年（1314年）のことです。本願寺第3代である覚如によって復興が果たされ、浄土真宗の寺院として再興されました。

現代において、本願寺西山別院は阪急京都線桂駅の近く、閑静な住宅地にありながら、その歴史の深さを感じさせる古刹として佇んでいます。境内には、往時の西本願寺の仮本堂として使用されていた建物を移築した風格ある本堂があります。現在の西本願寺阿弥陀堂が再建されるまでの間、仮の阿弥陀堂として重要な役割を担っていた建物であり、その左側の余間には、この別院の再興に尽力した覚如の影像が安置されています。また、境内の一角には覚如の廟所である覚祖廟が静かに祀られており、これは幼稚園の園庭の奥に位置しています。

境内地には、信仰を共にする門徒のための墓地が設けられています。さらに、次代を担う人材の育成にも力が入れられており、境内には西山幼稚園が併設されているほか、僧侶を志す人々や、住職などの資格を取得するために研鑽を積む僧侶が合宿形式で学ぶ、得度習礼所および教師教修所研修道場が設けられています。

その他、境内には参拝者を迎える山門があり、山門と本堂の間には目隠塀が設けられています。寺務を行う寺務所や、時刻を告げる鐘楼、そして書院といった様々な施設が整えられており、日々の寺務や信仰活動、そして学びの場としての機能が維持されています。

本願寺西山別院には、その寺院を讃えるテーマ曲「西山御坊讃歌」が存在します。この讃歌は、学び舎としての別院での歩みや同朋との繋がり、祖師から受け継がれる法灯、清らかな念仏の響き、漲る誓い、伝える者としての自覚、覚如の導き、そして青い空の下での法友との語らいや故郷への思い、遙かな頂きを仰ぐ高鳴る心といった、この別院が持つ精神性や活動の様子が歌詞に込められています。作詞は小林義教氏、作曲は酒井愛世氏が手掛け、鹿多証道氏によって歌われています。この讃歌は、別院に集う人々の心を一つにし、信仰の道を歩む励みとなっています。

本願寺西山別院は、古の歴史を受け継ぎつつ、現代においても信仰の場、学びの場として重要な役割を果たしています。

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