朽ちないサクラ

朽ちないサクラ

『朽ちないサクラ』は、柚月裕子による警察小説で、2012年から2014年にかけて徳間書店の雑誌『読楽』に連載後、2015年に単行本が発売されました。さらに、2018年には文庫版もリリースされ、作品は第5回徳間文庫大賞を受賞しています。ストーリーは、女性事務職員が親友の不審な死に直面し、真相を追う姿を中心に展開されます。

あらすじ

物語は、女子大学生がストーカーにより命を奪われる事件から始まります。米崎県警の平井中央署生活安全課は、被害届の受理を一週間も後回しにしていました。この問題が地元紙の米崎新聞によって報じられ、警察内部では情報漏洩の犯人探しが始まります。そんな中、広報広聴課に勤務する森口泉は、親友の津村千佳から「会いたいことがある」とのメールを受け取ります。

泉は、千佳が慰安旅行の情報を漏らしてしまったことを気にしており、会うことに決めます。しかし、約束を交わした後、驚くべきことが起こります。実は、千佳はその1週間後に遺体として発見されてしまったのです。この事件をきっかけに泉は警察学校の同期である磯川俊一と協力し、千佳の死の真相を掴むための独自調査に乗り出すことになります。

登場人物

• - 森口 泉: 28歳の自主的な事務職員で、母子家庭に育ちました。警察に転職後、芯の強さを見せる彼女が物語の主人公です。
• - 津村 千佳: 米崎新聞社の記者で、泉の高校時代からの親友。29歳であり、最初の事件の犠牲者となってしまいます。
• - 磯川 俊一: 平井中央署の巡査で、泉の警察学校の同期。泉に片思い中ですが、彼女には弟のように思われています。
• - 富樫 隆幸: 50代半ばの広報課長で、「公安のタカ」として知られるベテラン刑事です。警察内での信頼を集めています。

作品の背景と評価

この作品のテーマは、警察内部の腐敗や事件の解決に対する葛藤を描き出しています。泉が仲間と共に真実に向き合う姿は、読者に緊張感と興奮をもたらします。また、作品は核となる事件の複雑さを巧みに表現しており、登場人物たちの心理的変化や成長も楽しめる点が評価されています。

映画化

原作は2024年に映画化され、主演には杉咲花が挑みました。映画版では舞台が愛知県に変更され、より多くの観客に作品の魅力を届けることを目指しています。映画は原作の持つサスペンスやミステリーエッセンスを新たな形で視覚化し、視聴者を引き込みます。

書誌情報

『朽ちないサクラ』は、2015年に単行本、2018年に文庫本として入手可能です。また、オーディオブックも配信されており、さまざまな形式でこの物語を楽しむことができます。

この作品は、単なるエンターテインメントとしてだけではなく、社会に潜む真実や女性の力強さについても考えさせられる一冊です。

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