条件反射

条件反射

条件反射（じょうけんはんしゃ）は、動物が経験や訓練を通じて獲得する反射行動のことを指します。この現象は、ソビエト連邦の生理学者イワン・パブロフによって発見され、その名は「パブロフの犬」の実験によって広く知られています。

反射について

生物が内外からの刺激に反応する仕組みを、反射と呼びます。この際、通常「反射」と言われるのは先天的に持っている無条件反射です。無条件反射は、本能的なもので、自動的に起こる生理的反応です。それに対し、条件反射は経験に基づいて後天的に得られる反応です。心理学では、条件反射は「条件反応（conditioned response）」とも表現され、さまざまな行動がこの研究の対象となっています。

条件反射の具体例

例として、梅干しを見たときにつばが出てくるのが条件反射の一例です。一方、無条件反射の具体例には、熱いものに触れた際に手を引く動作や、転びそうになったときの反射的に手をつく行動が挙げられます。

パブロフの実験

イワン・パブロフは、犬の唾液分泌に関する研究中に、偶然条件反射の現象を発見しました。この実験では、犬にメトロノームの音を聞かせた後、食事を与えるというプロセスを繰り返しました。逆に、実験を行うたびに、メトロノームの音を聞くことで犬が唾液を分泌するようになるという現象が見られました。このことから、条件反射は意識的な学習とは異なり、自動的で無意識の調節によって生じるものであることが理解されました。

第一信号系と第二信号系

条件反射を理解する上で重要なのは、第一信号系と第二信号系の概念です。第一信号系は、周囲の現実（色、におい、味、触感など）が直接的に作用することによって生じる反射の総称です。一方で、第二信号系は言語刺激に依存して形成されるもので、抽象的な思考を支える基礎となります。この二つの信号系は互いに作用し合いながら、人間の心理活動を形成しています。

この信号系は均衡を保てることが望ましいですが、病的な崩れや不均衡がある場合には、第一信号系が優勢であれば「芸術型」、第二信号系が優勢であれば「思考型」というように分類されます。均衡が保たれている場合は「中間型」とされます。

信号系の発達

信号系は均等には発達しません。幼少期には第一信号系による反応が優先され、言語系は生後10か月以降から少しずつ発展します。低学年の子供たちにおいては、教育や学習が第二信号系の形成を強く後押しします。その結果、子供たちが得る知識の範囲は、直接的な現実を超えるまでになります。

このように、条件反射は単なる生理的な反応を越え、教育や学習と深く結びついた複雑な心理的プロセスを理解する上で重要な概念となります。

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