分泌

分泌

分泌（ぶんぴつ、英: secretion）は、細胞が自身の代謝産物や他の物質を体外に排出する過程を指します。これは細胞の基本的な機能であり、特に腺細胞が行う分泌活動は生理的に重要な役割を果たしています。分泌は大きく外分泌と内分泌の二つに分けられ、それぞれの特徴や機能があります。

外分泌と内分泌

外分泌とは、体外または体内の腔に物質を排出するプロセスであり、具体的には皮膚からの汗や皮脂、消化管からの唾液や胃液などが含まれます。一方で内分泌は、ホルモンなどの信号伝達物質が体液を通じて体内に放出され、特定の標的細胞に作用します。

分泌の様式

分泌物の放出様式は、その物質がどのように細胞から放出されるかに基づいて、以下のように分類されます。

1. 全分泌（ホロクリン）：腺細胞が破壊され、その中身が分泌される。例として皮脂腺が挙げられます。
2. 離出分泌（アポクリン）：細胞の一部が突出し、そこから分泌物が放出される。汗腺や乳腺に見られます。
3. 漏出分泌（メロクリン）：細胞自体は壊れずに物質が放出される。エクリン汗腺などが代表です。この漏出分泌はさらに、エキソサイトーシス（細胞内の小胞が細胞膜と融合して物質を放出）と透出分泌（物質が膜を通過して排出）に分かれます。

作用様式に基づく分類

内分泌物質がどのように標的細胞に作用するかによっても分けられます。以下の様式があります。

• - エンドクリン：分泌された物質が体液に乗って遠くの細胞に運ばれ、作用します。
• - パラクリン：分泌物が近隣の細胞に直接作用します。
• - オートクリン：同じ細胞に作用する場合です。
• - ジャクスタクリン：近接した細胞と直接接触して作用します。
• - イントラクリン：分泌物質が細胞内で受容体と結合し作用します。

これらの作用様式は、ホルモンなどの内分泌の典型的なメカニズムと異なり、神経伝達物質やサイトカインに見られるものです。

タンパク質の分泌

細胞が分泌するタンパク質は、エキソサイトーシスによって外に出され、特別なメカニズムが関与します。これらのタンパク質は通常、N末端に疎水性の高いシグナルペプチドが付加されています。真核細胞の場合、分泌タンパク質はまず粗面小胞体で翻訳され、その後ゴルジ装置を通じてエキソサイトーシスによって外部に放出されます。

原核細胞の分泌

原核細胞、特に細菌においても分泌機構が存在します。ここではSec分泌系が使用され、複雑な小胞体やゴルジ装置が無い環境で直接膜外へ物質が分泌されます。

分泌の多様性は、細胞の機能において極めて重要であり、様々な生理過程に関与しています。これらのメカニズムを理解することで、生物学的な理解を深め、医療や生物技術への応用が期待されます。

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