東京ステーションギャラリー

東京ステーションギャラリー：歴史と現代が交差する美術館

東京ステーションギャラリーは、東京都千代田区丸の内、東京駅丸の内駅舎内に位置する美術館です。JR東日本発足1周年を記念し、1988年に開館しました。単なる駅舎ではなく、文化発信拠点としての東京駅を創造するという理念のもと、近代美術や現代美術の展示を通して、来場者に豊かな芸術体験を提供しています。

近代美術の再検証、鉄道・建築・デザイン、現代美術への誘い

東京ステーションギャラリーの活動は、「近代美術の再検証」、「鉄道・建築・デザイン」、「現代美術への誘い」という3つの柱を軸に展開されています。知られざる作家の発掘や、これまで注目されてこなかった美術作品の紹介を通して、近代美術を再考する試みが行われています。また、重要文化財である東京駅舎という歴史的建造物に内包された美術館としての魅力を活かし、建築やデザインとの関わりにも焦点を当てています。さらに、新しい時代と丸の内エリアの雰囲気にふさわしい現代美術の展示にも積極的に取り組んでいます。

煉瓦の壁と歴史的空間

ギャラリーの展示室は、1914年の東京駅完成以来大切に保存されてきた煉瓦の壁面を生かした独特の空間です。当初は白い壁面を予定していましたが、初代館長である木下東京駅長の提案により、煉瓦の壁がそのまま使用されることになりました。その歴史的価値を尊重し、2006年の東京駅復原工事においても、可能な限り煉瓦の壁を残すことに配慮が払われました。

リニューアル後の展示室は、3階から2階へと降りていく順路となっています。3階は白い壁面ですが、階段と2階の展示室は煉瓦の壁が中心で、一部には創建当時の鉄骨も見られます。壁の色に合わせて、パーテーションの紐や照明器具の色も工夫され、洗練された空間演出がなされています。また、開館当時から使われていた照明や丸いステンドグラスなども移築され、歴史を感じさせる要素も大切に保存されています。

丸の内北口ドーム2階には、八角形の回廊があり、東京駅丸の内駅舎の歴史を紹介する模型や写真資料が常設展示されています。東京大空襲で焼失した天井レリーフの原型を再現した展示も見どころの一つです。

多彩な企画展と継続的な活動

開館以来、東京ステーションギャラリーでは、100本を超える様々なジャンルの展覧会が開催され、延べ235万人を超える来場者を集めてきました。2006年の東京駅復原工事による一時休館期間中も、旧新橋停車場の鉄道歴史展示室などで館外活動を継続。2012年10月、リニューアルオープンを果たし、現在も年間5本程度の企画展を開催しています。2階のミュージアムショップ「TRAINIART」では、煉瓦や丸の内駅舎をモチーフにしたオリジナルグッズも販売されています。

建築家の視点

建築家の青木淳氏は、東京ステーションギャラリーについて、「古いものと新しいものを重ね合わせ、この空間がこれまで辿ってきた来歴をそのまま見せることで、歴史の重みを感じさせる」と高く評価しています。時間を行き来するような、独特の空間体験を提供する美術館として、高い評価を得ています。

東京ステーションギャラリーは、歴史的建造物と現代美術が融合した、他に類を見ない美術館です。東京駅を訪れた際には、ぜひ足を運んでみてください。

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