東京学芸大学附属特別支援学校

東京学芸大学附属特別支援学校は、東京都東久留米市氷川台に位置する国立の特別支援学校です。国立大学法人東京学芸大学を設置者とし、同大学の附属機関として、教育、研究、そして実習の重要な役割を担っています。

概要と設置目的

本校は、教員養成を主たる目的とする東京学芸大学の附属学校として、多岐にわたる機能を果たしています。生涯にわたる学びの視点から知的障害のある児童生徒に対する教育を実践するだけでなく、東京学芸大学の障害児教育学科や附属特殊教育研究施設と緊密に連携し、障害児教育に関する研究を共同で推進しています。さらに、これらの研究活動や日々の教育実践を学内外に公開し、教育実習の場を提供することで、次世代の教員育成にも貢献しています。

歴史

本校の起源は、1954年（昭和29年）に東京学芸大学附属新設中学校内に設けられた特殊学級「若竹学級」に遡ります。この特殊学級が発展し、1960年（昭和35年）には「東京学芸大学附属養護学校」として独立しました。その後、幾度かの名称変更を経て、2007年（平成19年）に現在の「東京学芸大学附属特別支援学校」となりました。校舎についても、当初は文京区小石川の竹早地区にありましたが、1966年（昭和41年）に現在の東久留米市の校地に移転しました。2014年（平成26年）には創立60周年の節目を迎えています。

教育目標

本校が掲げる教育目標は、「子ども一人一人が、自立と社会参加をめざして、その個性・能力を調和的に高めていくための主体的な行動力を身につける」ことです。児童生徒一人ひとりの可能性を最大限に引き出し、社会の中で自分らしく生きていくための力を育むことを目指しています。

設置学部と相談部

教育課程としては、幼稚部、小学部、中学部、高等部が設置されており、児童生徒の成長段階に応じた教育を提供しています。また、本校の特徴的な取り組みとして「相談部」があります。これは、本校が培ってきた教育や研究の成果を地域社会に還元・貢献することを目的として、東京学芸大学の教員の協力を得て設置されたものです。相談部では、保護者向けに児童生徒の発達、学習、生活設計に関する「発達障害相談」を行うほか、外部の教員などを対象に、教育支援の方法や校内支援体制の構築に関する「特別支援教育相談」を実施し、特別支援教育の専門性を広く共有しています。

校章と校歌

校章と校歌は、創立15周年を記念して1969年（昭和44年）に制定されました。校章は、その前身である「若竹学級」の名にちなみ、力強く伸びゆく若竹の姿（上向きの矢印を模している）を円で囲んだデザインです。校歌は、作詞を川口廷氏、作曲を中田喜直氏が手掛けました。三番まである歌詞の中には校名こそ直接出てきませんが、一番に学校の象徴である「若竹」という言葉が登場し、学校の歴史と精神を受け継いでいます。

同窓会

卒業生による同窓会は「若竹会」と称し、卒業後も交流を深め、学校との連携を保っています。2008年（平成20年）には、若竹会により生涯発達支援施設「若竹会館」が完成するなど、卒業後の支援活動も積極的に行われています。

沿革詳細

本校の主な沿革は以下の通りです。

1953年（昭和28年）9月5日 - 特殊学級開設に向けた準備委員会が発足。
1954年（昭和29年）4月1日 - 東京学芸大学附属竹早中学校に「特殊学級」の設置が認可される。
1954年（昭和29年）4月15日 - 特殊学級の名称が「若竹学級」と決定される。
1954年（昭和29年）6月15日 - 第1回入学式が挙行される。
1959年（昭和34年）6月 - 同窓会「若竹会」が発足。
1960年（昭和35年）4月1日 - 附属竹早中学校から分離独立し、「東京学芸大学附属養護学校」（小学部・中学部）として開校。
1962年（昭和37年）4月1日 - 高等部を設置。
1966年（昭和41年）4月1日 - 「東京学芸大学教育学部附属養護学校」に改称。高等部本科制が認可。
1966年（昭和41年）6月8日 - 東久留米の現在地に新校舎が完成し、移転を完了。
1967年（昭和42年）3月6日 - プールが完成。
1969年（昭和44年）11月28日 - 創立15周年記念として、校旗と校歌を制定。
1971年（昭和46年）3月6日 - 新作業棟が完成。
1972年（昭和47年）7月25日 - グラウンドを拡張。
1975年（昭和50年）4月1日 - 幼稚部を設置。
1976年（昭和51年）5月24日 - 第二グラウンドが完成。
1977年（昭和52年）5月2日 - 幼稚部棟が完成。
1978年（昭和53年）7月 - 卒業生とその保護者により「若竹共助会」が設立。
1981年（昭和56年）5月 - 若竹会と若竹共助会が統合され、「若竹会」となる。
1990年（平成2年）4月26日 - グラウンドにアスレチック遊具が完成。
1993年（平成5年）4月28日 - 日常生活訓練棟が完成。
2002年（平成14年）2月 - 日常生活訓練棟がレインボーハウスに改称。
2004年（平成16年）3月31日 - 校舎の大規模改修が完了し、ランチルームを増設。
2004年（平成16年）4月1日 - 国立大学法人化に伴い「国立大学法人東京学芸大学附属養護学校」に改称。2学期制を開始。
2007年（平成19年）4月1日 - 校名が「国立大学法人東京学芸大学附属特別支援学校」に変更され、現在に至る。
* 2008年（平成20年）12月22日 - 若竹会により生涯発達支援施設「若竹会館」が完成。

この学校は、知的障害のある児童生徒への質の高い教育を提供するとともに、東京学芸大学との連携を通じて、特別支援教育の発展に寄与し続けています。

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