東大寺別当次第

東大寺別当次第について

概要

東大寺別当次第（とうだいじべっとうしだい）は、東大寺の歴代別当に関する重要な記録であり、その補任年月日、任期、師資関係、事績などが詳細に記されています。この文献は、東大寺の歴史を理解する上で非常に価値が高いものとされています。

現在、東大寺別当次第に関連する文献が大きく分けて三種類存在しています。

1. 東大寺要録別当章
これは『東大寺要録』に所収されているもので、初代別当である良弁から74代の勝覚（1104年補任）までの情報が含まれています。また、後に105代の道融（1273年補任）までの記載が追加されたバージョンも存在します。

2. 東大寺別当次第
こちらは『群書類従』に収められており、やはり良弁から143代の隆実（1447年補任）までの詳細が記述されています。

3. 東大寺別当統譜
最後に『大日本仏教全書』に収められているこの文献には、初代の良弁から171代の寛宝法親王（1748年補任）までの情報が含まれています。

これら三種の文献は、それぞれの時代における別当に関する情報を提供しているものの、特に25代済棟の後に関しては、その内容が「旧記に注されているものの、虚偽が多い」とされる部分が存在します。これにより、奈良時代後期の別当として確認される法正や玄憐といった名前が含まれていないことに注意が必要です。また、東大寺において別当制度が確立されたのは延暦年間以降であることが分かっており、これらの文献には誤りが多い一面があります。

信頼性の評価

それに対して、26代の真昶が任命された貞観年間以降の記録は、太政官符などの公式文書に基づくものであり、これらの部分に関しては信頼性が高いとされます。これにより、他の文献で記されている欠損部分を補完する役割を果たすと考えられています。

さらに、東大寺における俗別当についても言及されており、これらの記述は東大寺の歴史の中でも重要な位置を占めています。

参考文献

・堀池春峰「東大寺別当次第」（『国史大辞典 10』（吉川弘文館、1989年）ISBN 978-4-642-00510-4）
・永村眞「東大寺別当次第」（『日本史大事典 5』（平凡社、1993年）ISBN 978-4-642-00510-4）

このように、「東大寺別当次第」は東大寺の歴史を理解するための貴重な文献であり、その内容の精査や信頼性の見極めが必要です。

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